ランタンフェス過去最多

 「永」の字は、水が勢いよく合流するさまをかたどっている。上の点は、ぴょんと跳ねた飛沫(ひまつ)に見えなくもない。止めどない水の流れに、古人は長い時の流れを重ねたのかもしれない▲17世紀には船の往来がひっきりなしだったという。400年以上にわたる中国と長崎の縁には、水の合流を表し、「永年」などと用いられる「永」の1字が、どこか似つかわしい▲華僑の家庭ではかつて、祭壇を作って中国の旧正月、春節を祝う風習があったらしい。1980年代、それを長崎市の新地中華街がイベントにした▲素朴な形で始まった行事はやがて、長崎市などと手を取り合って、今の長崎ランタンフェスティバルへと成長していく。今年は17日間で121万人(速報値)を集めて、過去最多を記録した▲筆者も今回、迫力ある龍踊に見入った一人だが、ステージイベントが復活し、4年ぶりの通常開催だった。17日の「皇帝パレード」は「超」の付く本県出身の有名人たちが出演して注目された。期間中、3連休を2回挟んだ…と「最多」のわけはいろいろある▲華やかな祭りが終わったが、これまでもこれからも、中国と長崎を結ぶ「永」の文字が祭りを支えることに思いを致したい。江戸の昔、長崎に渡ってきた華僑の人たちは、きっと上空で目を細めている。(徹)

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