『マッシュル』海外でなぜ人気アニメに? 「BBBBダンス」の拡散力と最強ヒーローの魅力

〈ブリン・バン・バン、ブリン・バン・バン、ブリン・バン・バン・ボン〉

今大きな注目を浴びているCreepy Nutsの楽曲「Bling-Bang-Bang-Born」の一節だ。一度聞けば二度と頭から離れなくなる衝撃のフレーズだが、同楽曲はアニメ『マッシュル-MASHLE-』を海外のアニメファンたちのあいだで“バズらせる”ことにも成功している。

Creepy Nutsといえば、日本のヒップホップ界を牽引するR-指定とDJ松永の2人組ユニット。アニメ『よふかしのうた』のOP曲・ED曲を担当したことなどから、マンガ・アニメファンのあいだでも知られた存在だ。「Bling-Bang-Bang-Born」は、そんなCreepy Nutsが書き下ろした新曲であり、2024年1月から放送が始まったアニメ『マッシュル-MASHLE-』の第2期「神覚者候補選抜試験編」のオープニング曲に使用されている。

楽曲の作りとしては、近年世界的に流行している音楽ジャンルの「ジャージークラブ」を大胆に取り入れているのが大きな特徴。卓越したR-指定のラップスキルと、DJ松永によるキャッチーなトラックのセンスが上手くかみ合った1曲となっており、身体が勝手に踊り出すような軽快なビートが心地いい。

TVアニメ「マッシュル-MASHLE-」第2期ノンクレジットOPムービー|Creepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」

ダンスに向いた楽曲だったこともあり、同楽曲はTikTokを震源地として大流行することに。またアニプレックス公式がYouTubeに投稿したノンクレジットOP動画は、わずか2週間で1,000万再生を突破するほどの初速を叩き出し、今や5,250万を超える再生数に達している(2月21日時点)。

さらに楽曲の人気はたちまち海外にも広まったようだ。たとえば世界200以上の国と地域で人気な日本の楽曲をランク付けしたビルボードの「Global Japan Songs Excl. Japan」ランキングでは、King Gnuの「SPECIALZ」やYOASOBIの「アイドル」をおさえ、1月25日から4週連続で1位を獲得。またiTunesのヒップホップチャートでも10カ国以上で首位に輝いており、国内外のストリーミングで人気を爆発させている。

他方で、楽曲の人気をアニメの力が支えていることも忘れてはならないだろう。アニメのオープニング映像では、例の“ブリン・バン・バン、ブリン・バン・バン、ブリン・バン・バン・ボン”に合わせてキャラクターたちが両腕を左右に振るダンスが描かれており、これがSNS上で「BBBBダンス」として流行を巻き起こしたのだった。

ちなみにアニメ公式も拡散に力を入れており、TikTokにて小林千晃や石川界人、上田麗奈などの出演声優たちが「BBBBダンス」を踊る動画を投稿している。

海外でヒットしているのはオープニング曲だけではなく、アニメ『マッシュル-MASHLE-』第2期自体にも注目が集まっているようだ。日本のアニメとマンガに特化した海外のSNS「MyAnimeList」では、およそ3万2,000人分のユーザーレビューで8.13のハイスコアを記録している。

そもそも同作はファンタジーの世界を舞台に、主人公のマッシュ・バーンデッドが筋肉で無双していくファンタジーコメディ。『ハリー・ポッター』シリーズのような魔法ファンタジーと、『ワンパンマン』のような“最強ヒーロー”を組み合わせた作品だ。いずれも海外で広く浸透しているジャンルなので、人気が出ることはある意味必然だったのかもしれない。

実際にフランスではアニメ化される前から『マッシュル-MASHLE-』の人気が高く、単行本が年間売上ランキングで上位に食い込んだこともあった。

そんな中でアニメ第2期では、「Bling-Bang-Bang-Born」の流行によってさらに知名度が高まることに。近年では『【推しの子】』や『チェンソーマン』など、話題性のある楽曲によってアニメの人気がブーストされることが多いので、そのパターンに上手くハマったと見ることもできるだろう。

『マッシュル-MASHLE-』、そしてCreepy Nutsの快進撃はどこまで続くのか。“生身のまま行けるとこまで”突き進んでほしい。

(文=キットゥン希美)

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