アングル:欧州株けん引する「マグニフィセント4」、多様なセクター構成

Amanda Cooper

[ロンドン 22日 ロイター] - 米国では超大型7銘柄「マグニフィセント7」が株式市場の高値更新をけん引しているのと同じように、欧州でも時価総額の大きい「マグニフィセント4」が株式市場の高騰を主導している。ただハイテクが圧倒的なマグニフィセント7と異なり、欧州のマグニフィセント4は医薬やファッション、半導体など多様なセクターで構成されている点に特徴がある。

世界中の株式市場が人工知能(AI)をはやして過去最高値を更新し、陶酔感が広がる中、22日の欧州でも主要株価指数のSTOXX欧州600種指数が、2022年に付けた過去最高値を更新した。年初来の上昇率は3%だ。

STOXX600の時価総額は約11兆ドル。ユーロ圏は成長が伸び悩み、域内の経済大国ドイツが間もなく景気後退に陥ると予想されているにもかかわらず、利下げ期待とAIの熱狂的支持者による買いを背景にSTOXX600は4カ月連続で上昇している。

その大部分を一握りの銘柄の目を見張るような上昇が支えている状況は米国と同じ。少数の企業にリスクが集中し、市場全体がわずかな企業の浮き沈みに左右されやすくなっている、と一部の投資家は懸念する。

それでもSTOXX600は裾野の広さが高値更新の重要な要因となっており、ハイテク銘柄が上昇を主導するS&P総合500種に比べて多様性が高い。

デンマークの製薬大手ノボ・ノルディスクは肥満症治療薬「ウゴービ」を追い風に昨年株価が66%上昇し、時価総額がフランスのブランド大手LVMHを抜いてSTOXX600で最大となった。

10年前に時価総額が欧州最大だったのはスイスの食品大手ネスレで、これにスイスの製薬大手ロシュとノバルティスが続いていた。LSEG/データストリームのデータによると、当時この3銘柄はSTOXX600の時価総額約6兆7000億ドルの約7%を占めていた。

現在の時価総額上位3社はノボ・ノルディスク、LVMH、オランダの半導体メーカーASMLの3社で、合計時価総額は1兆3500億ドル、STOXX600の時価総額全体に占める割合は12%だ。

フランスの化粧品大手ロレアルは時価総額の順位が今では5位と、10年前の6位から上昇。株価は急騰し、STOXX600に占める比率は14年の1%から2.3%に上がった。

STOXX600が過去最高値更新した22日、構成銘柄を時価総額加重ではなく等分にしたイコールウエート指数は年初来で実質横ばいとなっており、ノボ・ノルディスク、LVMH、ASML、ロレアルの4銘柄の比重がどれほど大きいかがよく分かる。

過去2年間を振り返ると、S&P500よりもSTOXX600の方が時価総額の大きい銘柄への偏りが大きかった。この2年間にS&P500は15%上昇し、イコールウエート指数も6.2%上昇した。一方、STOXX600は約6%上昇したが、イコールウエート指数は6%余り下落した。

全体的に見ればSTOXX600は株価収益率(PER)は約16.5倍で、S&P500に対する割安度合は過去最大に近い。

マールボロのマルチアセット担当最高投資責任者、ネイサン・スウィーニー氏は「欧州は割安なバリュエーションで取引されており、GSK、ロシュ、ASML、ネスレ、ノバルティス、ノボ・ノルディスク、ロレアル、LVMH、アストラゼネカ、SAP、サノフィなど時価総額上位11社を指すGRANOLASは収入の持続的な伸びが見込まれる」と期待を示した。

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