「若い選手から刺激は受けない」16年目のベテラン守護神、平野佳寿が語る後輩たちへの想い【オリ熱スタイル'24】

オリックスの守護神で昨年は名球会入りも果たしたプロ16年目、3月には40歳となる平野佳寿が元気な姿で宮崎・清武総合運動公園で行なわれている春季キャンプで汗を流している。平野は2021年にメジャーからオリックスに戻るとチームは3連覇と、優勝請負人と言ってもいいだろう。今年も若い選手の台頭や新外国人のマチャドが加入するなど、守護神やセットアッパー候補はたくさんいるが、平野はまだまだ譲る気持ちはない。

平野は「怪我なくトレーニングが出来ているので、いい感じだと思う」と順調な調整をアピール。ブルペンでは「しっかり腕を振って投げられるように、体がついて来れるかを確認して。まだまだ体が思ったように動けてないところがあるので、もっと体と相談してブルペンに入ったり、考えたりしている」とベテランならではの調整法で、16年目のシーズンに向けて準備をしていく。

ブルペンでは生命線であるフォークも投げていたが「真っ直ぐ投げて、真っ直ぐが出来てからのフォークなんでね。まだまだ全然ですけど。真っ直ぐもまだまだなんで。とりあえず感覚だけですね」とこちらも開幕までに少しずつアジャストしていく方針だ。

「個人的に個人の成績は気にしてない」とキッパリ話すベテランが掲げるのは「もう一度、日本一になりたい」というチームへの想いだ。「4連覇できるチャンス、ウチしかない。やっぱ着実に強いチームになってきてると思うし、 他のチームがマークされるようなチームだと思うんで、ここでもっともっと強いチームになっていくように、みんなで競い合ってやっていくのが必要」とチームのためにも自らが身を引くことなく、若い選手たちと競っていくことが、チームが強くなり、全体の底上げになるという気持ちがある。だからこそ平野は「若い選手たちから刺激は受けない」「彼らはライバル」という言葉が次々と出て来る。

もちろん後輩たちを認めていないわけではなく「伸びるなっていう選手はもうみんなと思いますし、別に誰がとかはいないですね。みんな、そういうポテンシャルあるし。 いいピッチャー多いですし。なので、僕も別にアドバイスなんかしてないです。一人で長めにプロでやってるから、それなりにアドバイスが欲しいって言ってきてくれる子がいたら、僕の経験でよかったら僕は全然しますけどね。でも、根本的にはやっぱライバルなんでね、みんな若い子も。なので、負けないようにやるっていうのは、僕の中で彼らに対する意味でいいかなとも思いますし。一緒に頑張っていくっていう感じですかね」と後輩たちの成長を感じているからこそ、自らもまだまだ負けじと成長し続けたいという気持ちが、平野の活力になっているという。

昨年よりトレーニング量を増やしたという平野だが、疲れた様子は見られない。今年のキャンプには過去最多の来場者が駆けつけているが「平日でもこんなに来るんや」と驚いているという。「全員には出来ないですけど、サインをすることで一人でも多くの人に喜んでもらえたら嬉しい」とオリックスのアイコンは年々ファンが増えていることを喜んでいた。後輩の選手たちにとって、平野の壁を超えるのはかなりハードルが高そうだ。

文⚫︎THE DIGEST取材班(D's Style)
写真⚫︎野口航志(D's Style)

© 日本スポーツ企画出版社