被毛が抜け甲状腺機能低下症 元気になったあなたはトイプードルだったんだね 甘えん坊のお利口さんに幸が訪れますように

元飼い主が飼育放棄し、リアンに保護されることになったケント

保護犬は背景が野犬と飼い犬に大別できますが、出自やバックボーンがわからないケースも多く、多くは推定でその月齢を読み取ります。まれに飼い犬などで誕生日や出自などが明確にわかるケースもあり、やむを得ない事情から飼い主やその関係者が保健所や動物愛護センターに引き渡したものです。

主に埼玉県・茨城県の動物愛護センターからワンコたちを引き出し、幸せな第二の犬生へと繋ぐ活動を続ける犬保護団体restartdog LIEN(以下、リアン)のもとに、2022年11月にやってきたケントというオスも、飼い主から「飼えない」ということで引き取られたワンコでした。

被毛の毛玉、禿げ、悪臭から思い切って丸刈りに!

ケントは2015年12月29日生まれ。リアンに来た際は、もうすぐ7歳でしたが、その姿にスタッフは愕然としました。被毛のあちこちに毛玉があり、ところどころ禿げています。全身から悪臭を放っており、飼い主が適切なケアをしていなかったことは明らかでした。

それを恨むよりもばずすべきは適切なケアです。スタッフはすぐにトリミングを実施。思い切って全部の毛を刈ってリスタートさせることにしました。

ケントは丸刈りになりました

その後も毛が伸びるスピードが遅いため、スタッフが動物病院に連れていきました。検査結果は甲状腺機能低下症。命にかかわることは少ない病気ですが、中年期の発症が多いもので、左右対称性の脱毛から気づくことが多いとされています。ケントがいつ発症したかは不明ですが、命にかかわる病気ではなかったことをスタッフは喜び、投薬治療を始めることにしました。

投薬効果で毛が生えはじめ、次第に心を開くように

投薬効果でケントに毛が生え始めました

毛がないケントは、一見犬種がよくわかりませんでしたが、治療が奏功し体調が良くなってくるにつれ、白く縮れたようなかわいい被毛が生えはじめました。そう、ケントは真っ白のトイプードルだったのです。

ただ健康体のワンコに比べれば、まだまだ毛が生えるスピードが遅いのも事実です。リアンの預かりスタッフは「丸刈りにしたケントがあまりにかわいそう」と洋服や手編みのマフラーを用意しました。

愛情たっぷりの手編みのマフラーをもらいました

たっぷりの愛情を受けて、次第にケントも預かりスタッフやその家の先住犬たちに心を開くようになり、先住犬を押し除けて預かりスタッフの膝の上にチョコンと乗ってくることもありました。

「ダメだよー。みんなと仲良くしてね」と笑う預かりスタッフでしたが、こんなにかわいいケントを前にすると、ついつい甘やかせてしまうのでした。

「劣悪な環境で育ったからこそ絶対に幸せへと繋げてあげたい」

ケントは「お手」「伏せ」などもできるお利口さん。その素直な性格と純粋無垢なケントの瞳を見ると、元いた環境での時間をより恨めしく思うのも正直なところですが、リアンスタッフは「だからこそ、絶対にケントを幸せにしてくれる里親さんへのマッチングを果たしたい」と言います。

現在ケントは8歳。高齢に差し掛かろうとする時期ではありますが、近年の獣医療の発達で寿命も長くなり、重篤な病気を発症しないトイプードルであれば15〜16歳までは生きるという説もあります。

ケントにぴったりの里親さんが現れ、その晩年が幸せいっぱいの毎日になることを祈るばかりです。

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(まいどなニュース特約・松田 義人)

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