ひな人形、江戸風と京風でどう違う? 京都国立博物館で紹介

京風の古今雛。男雛の衣装や女雛の手の表現に、江戸風との違いが見える(京都市東山区・京都国立博物館)

 江戸時代の18世紀末に流行し、現代のひな人形の原形とされる「古今雛(びな)」の東西の違いを学ぶ展示が、京都市東山区の京都国立博物館で開かれている。

 同館が1926(大正15)年に始めた名物企画。今回は、岐阜県飛騨地方の豪農に伝わった江戸風の古今雛を展示し、京風(上方風)と比較した。

 古今雛は大坂出身の人形師だった初代原舟月(しゅうげつ)が江戸で創始し、2代目が発展させた。当時、古今雛や親王雛と呼ばれていたという。

 江戸での流行を受けて京都でも同様のひな人形が生まれたとする説もあるが、両者には違いが多い。江戸風では単衣(ひとえ)の中に収まる女雛の手先が、京風では檜扇(ひおうぎ)を持たせるため外に出ている。江戸風は顔がうつむいていたり、京風は男雛の衣装を実際の公家装束により近づけていたりする点も異なる。

 京都のひな人形は、古今雛以前の金襴(らん)の衣装を着けた「享保雛」から古今雛に向かう過程で、公家の装いを意識した形式が登場する。今回、この形式を新たに「古式親王雛」と分類し紹介している。

 展示は人形や道具など53件。3月24日まで。午前9時半~午後4時半(金曜は午後6時半まで)。月曜休館。有料。

岐阜県飛騨地方の豪農の家に伝わった江戸風の古今雛(京都市東山区・京都国立博物館)

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