保護犬の母犬が6きょうだい 一番小さな子犬は先天性の右肘脱臼だった がんばる姿が里親希望者の心を打った

保護犬の母親から生まれたジャズ。生まれつき右前肢にハンデを抱えていました

犬の保護・譲渡活動を通して「殺処分ゼロ」の実現を目指す団体ピースワンコ・ジャパン(以下、ピースワンコ)。2023年、同団体に妊娠中のメスのワンコが保護されました。このワンコは同団体の施設で6きょうだいの子犬を出産。そのうち一番体が小さいワンコ・ジャズは一見、元気いっぱいに見えました。しかし、スタッフがある日歩く様子を見て異変を感じました。通常のワンコに比べ、歩き方が少し変わっているのです。すぐにレントゲン検査をしたところ、ジャズの右前肢の、肘から外側に足が向いてしまっている状態で、生まれつきの「右肘脱臼」と診断されました。

子犬であるため痛み止めなどを投与できない

通常、成犬であれば内科的処置として痛み止めの服用や外科的処置として手術が考えられますが、ジャズはまだ生まれて間もない子犬です。痛み止めなどの投薬はできず、成長期であるため手術もできません。

幸いジャズ自身は痛みを感じていないかのように毎日活発に動き回っているため、マッサージなどをしながら経過観察することにしました。ただし、ジャズを母犬やきょうだいの元に戻すと、じゃれあいや喧嘩の中で「右肘脱臼」をさらにこじらせてしまう恐れがあります。

そこで、ジャズはスタッフが面倒を見ることになりました。

スタッフにベッタリなつくジャズ

エサを与えたり排泄を促したり、夜間はスタッフが自宅に連れて帰りました。家族と離れた寂しさからジャズは毎晩鳴きスタッフは寝不足の日々が続きましたが、その分ジャズは人間大好きに育ってくれました。「普通のワンコだよ!」と言わんばかりに毎日元気に走り回っています。

諦めかけていたところに現れた里親希望者

スタッフは当初「ジャズと里親さんのマッチングは難しいかもしれない」と考えていました

元気いっぱいの様子から持病を感じさせませんが、成犬になるにつれ右肘脱臼が悪化しないとも限りません。痛みが生じれば継続的な投薬が必要になるかもしれませんし、手術が必要になるかもしれません。最悪の場合、自らの足で歩けなくなり、車いす生活に頼る可能性も否めません。

スタッフは「新しい家族は見つからないのではないか」と考えていました。経験上、疾患があるワンコには里親が見つからないことが多いからです。

そんなジャズに朗報が舞い込みました。「家族に迎えいれたい」という里親希望者が現れたのです。

「それでもがんばるジャズの姿が愛おしい」

里親希望者はジャズの右肘脱臼を知り、世話が必要になる可能性があることも十分理解した上での申し出でした。「脱臼しているのに、元気いっぱい動き回るジャズにひかれた」「それでもがんばって生きるジャズが愛おしく世話をしたい」と言います。スタッフの胸に熱いものがこみ上げました。

ジャズはピースワンコを卒業することになりました

ジャズはこの家庭で、ピースワンコにいた頃よりも、さらに元気にすくすく成長し、里親家族をおおいに癒してくれているそうです。ハンデがありながらも、幸せな犬生をつかむことができたジャズ。いつまでも幸せな日々を過ごしてね。

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(まいどなニュース特約・松田 義人)

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