「投手大国」阪神で取り残される湯浅 ファーム再調整で「フォームのズレ」見直し必須

投手王国・阪神で取り残されている形になったのが、ファームに降格した湯浅京己だ。

2024年2月23日の巨人戦(セルラー那覇)に7回から救援登板したが、1回4安打2失点。自慢の直球が走らず空振りを奪えない。先頭の松原聖弥から3連打を浴びて無死満塁のピンチを作ると、育成枠の中田歩夢に146キロ直球を中前にはじき返される2点適時を浴びた。秋広優人はフォークで空振り三振に仕留めて大量失点は回避できたが、本来の状態とは程遠い内容で試合後にファーム降格が決まった。

「下半身を使えていないので球にキレがない」

22年に59試合登板で2勝3敗43ホールド、防御率1.09と抜群の安定感で最優秀中継ぎ投手に輝いたが、守護神に抜擢された23年シーズン季は15試合登板で0勝2敗8セーブ3ホールド、防御率4.40と精彩を欠いた。左脇腹痛から復帰した日本シリーズでは2試合の救援登板で無失点に抑えたが、この春季キャンプを見るとコンディションが上がっているとは言えない。

スポーツ紙デスクは「下半身を使えていないので球にキレがない。直球とフォークが投球の9割以上を占めているので、直球で空振りが取れないとフォークを見極められ、打者を抑える確率が低くなる。昨年からずっと良くないので、フォームのズレを根本的に見直した方がいいと思います」と指摘する。

23年のWBCではリリーバーとして侍ジャパンの世界一に貢献したが、過去の実績で起用してもらえるほど甘い世界ではない。本来の力強い直球を取り戻し、選手層の厚い救援陣に割って入れるか。(中町顕吾)

© 株式会社ジェイ・キャスト