新生T8が連勝発進。初戦はフィーニーが1-2で制し、移籍ブラウンも初勝利/RSC開幕戦バサースト500

 シリーズ3冠を手土産に北米NASCARへの挑戦を開始した“SVG”ことシェーン-ヴァン・ギズバーゲンの去った2024年のオーストラリア大陸にて、今季もGMシボレーとフォードがしのぎを削るRSCレプコ・スーパーカー・チャンピオンシップが開幕した。

 新時代のオープニングとなった2月24~25日の『スリフティ・バサースト500』では、それでも強豪として意地を見せるトリプルエイト・レースエンジニアリング(T8)が強さを発揮する展開となり、新エースのブロック・フィーニー(レッドブル・アンポル・レーシング/シボレー・カマロZL1)と、移籍加入の僚友ウィル・ブラウンが勝利を飾っている。

 昨季中盤にスポット参戦したNASCARカップシリーズでの“デビューウイン”を受け、現地3大ナショナルシリーズへの挑戦が決まったSVGだが、絶対王者去りし後のRSCは後継者として昨季新チャンピオンに輝いたエレバス・モータースポーツのブロディ・コステッキが、詳細不明のまま開幕戦を欠場するという波乱の幕開けとなった。

 そんな状況で王座奪還を期すT8陣営は、プラクティスから両所属ドライバーがトップタイムを分け合う速さを誇示し、計時予選では97号車のフィーニーが、続くトップ10シュートアウトでは今季より87号車(SVG時代は97号車)をドライブするブラウンが最速となり、早くも定位置フロントロウを固めた。

 迎えた土曜レース1は、スタートこそポールシッターが出遅れて僚友フィーニーが首位浮上を果たすも、シグナルグリーン直後のターン1でライアン・ウッド(ウォーキンショー・アンドレッティ・ユナイテッド/フォード・マスタング)がグラベルにスタック。牽引のため早々にセーフティカー(SC)が導入される。

 その後もT8のドライバーたちはピットストップまで接近戦を繰り広げると、1周先に作業を済ませたブラウンは「スピードリミッターの(オフ)ボタンを押すのが遅かった」と自らのミスでタイムロスを喫したことを認め、後半スティントはフィーニー、ブラウンのオーダーで推移する。

 3番手発進だったチャズ・モスタート(ウォーキンショー・アンドレッティ・ユナイテッド/フォード・マスタング)も、残り2周でアーロン・ラブ(ブランシャード・レーシングチーム/フォード・マスタング)がクラッシュしたためSCセッションとなり、前方の2台に挑戦する機会もないままSC先導フィニッシュとなった。

「ふたたび調子を上げるには、ここで勝利が必要だと感じていた」と、昨季9月の『ペンライト・オイル・サンダウン500』が最後の勝利となっていたフィーニー。

「まだ(SVGに勝利を献上した2023年バサースト1000)を埋め合わせていないから、10月にはまたそれを追いかけようとしている。今日のセカンドスティントでは充分なスピードがあったし、クルマは本当に速くて素晴らしかった」

昨季新チャンピオンに輝いたErebus Motorsportは、ブロディ・コステッキ欠場という波乱の幕開けとなった
PremiAir Racing(上)には元DJRの名エンジニア、ルード・ラクロワが加入。Team 18(下)にはデビッド・レイノルズ(右)が移籍している
フォード陣営はTickford Racing(上)が2台体制に。DJR(下)もドライバー継続で復活に賭ける
プラクティスからマウントパノラマを席巻したRed Bull Ampol Racingのブロック・フィーニー(中央)とウィル・ブラウン(左)

■初代TCRオーストラリア王者が移籍後初優勝

 一方、わずかなミスが命取りとなったブラウンは、初戦でT8のワン・ツー・フィニッシュに貢献したことを喜びつつ、自身の移籍後初勝利を翌日に持ち越すかたちとなった。

「明らかにピットで少し流れが変わった。ピットボタンを素早く押すことができず、残念ながら最初のストップで少しタイムロスしてしまったんだ。でも、全体的にはシーズンを始めるのに素晴らしい方法だし、ワン・ツーならこれ以上のものは望めないんだからね」

 明けた日曜のマウントパノラマもこの3名が勝利を争う展開となり、予選シュートアウトではモスタートを0.09秒上回った前日勝者フィーニーがポールポジションを射止める。

 しかしレース2の主役を演じたのはブラウンの方で、首位発進を決めた97号車はスタート直後にジェームス・ゴールディン(プレミエアー・レーシング/シボレー・カマロZL1)との接触により5秒加算ペナルティを受け、ふたりから大きく遅れを取ることに。

 この間隙を突いてリードラップを刻み続けたWAUのエースカーだったが、2回目のピットに飛び込んだマスタングはホイールにわずかなトラブルが発生し、ブラウンにT8での初優勝をプレゼントする結果となった。

「そう、新しいチームでの初戦はとても意味のあること。今週末は初勝利を収めて、土曜にはポールポジションを獲得できて本当に興奮している」と、今季はSVGの後任としてチームに加入した初代TCRオーストラリア王者でもある25歳。

「本当に疲れ果てた、かなりハードだったよ。序盤はチャズ(・モスタート)をプッシュし続け『いつかはミスをする』と考えていたが、彼はそんな素振りさえ見せない。それどころか(山側セクションの)ダウンヒルでとんでもなく速いんだ!」と、ライバルの走りを称えたブラウン。

「彼はハードなレーサーなので、終盤はどこかでアタックしてくるだろうと気が抜けなかった(最終的に約1.5秒差の2位)。今日はレッドブル・アンポル・レーシングのみんなにありがとうと言いたい。1年は長いし(周囲の)彼らは素晴らしい走りをしている。だから最終的にどこに着くか楽しんでいくとしよう」

 続くRSC第2戦『メルボルン・スーパースプリント』は、3月21~24日にアルバートパークで開催される。

レース1スタートではポールシッターが出遅れて僚友ブロック・フィーニーが首位浮上を果たす
2024年のオープニングを1-2で飾ったふたり。「2位に入れたことはとてもうれしい」とウィル・ブラウン
「彼はハードなレーサーなので、終盤はどこかでアタックしてくるだろうと気が抜けなかった」とレース2を制したウィル・ブラウン
「昨年の状況から、我々が先頭に立って彼らに挑戦することは期待していたが、これは大きな変化だ」と2位のチャズ・モスタート

投稿 新生T8が連勝発進。初戦はフィーニーが1-2で制し、移籍ブラウンも初勝利/RSC開幕戦バサースト500autosport web に最初に表示されました。

© 株式会社三栄