これは私の祖母の実体験です。思いを込めたものは簡単に消えないんだ……そんな風に思わせてくれるお話でした。
お見舞い
私は今年、86歳になりました。娘や孫に囲まれて毎日楽しく生活を送っている私は、幸運なことに大きな病は患っていません。
しかし年齢も年齢のため、同年代のお友達はボケてしまったり、がんを患ったり、健康面で心配のある人が増えてきました。
私にできることは何かと考えたとき、病気で苦しむお友達に気持ちを込めて千羽鶴を折り贈ることを思いつきました。いままでに数え切れないほどの千羽鶴を折り、お友達に贈っています。
折った千羽鶴は100羽ごとにひもを通し、10本になった鶴をまとめ、かけて飾れる状態にして贈っています。
お友達の訃報
そんななか、千羽鶴を贈ったお友達の1人が、闘病の末亡くなりました。お友達のご家族の方が、私の贈った千羽鶴を棺桶のなかに一緒に入れてくれたそうです。
棺桶の中には、お花やお手紙、写真などを入れ、その一部に千羽鶴を入れてくれたんだそうです。
お骨を拾うため焼きあがった棺桶を見たら、ほかの部分はすっかり跡形なく燃えてしまっているにもかかわらず、千羽鶴を入れた部分だけ千羽鶴の形のまま、黒い炭がきれいに残っていたと聞きました。
信じざるを得ない連続
その後も、千羽鶴を贈ったお友達の訃報が入ることが何度かありました。
お友達が棺桶に入れてほしいと遺言を残していたり、ご家族が好意で入れてくれたりと、棺桶に千羽鶴を入れてくれた方が何人もいます。
そのすべての棺桶で、千羽鶴を入れた部分だけ千羽鶴の形のまま炭がきれいに残っていたと聞きました
焼く温度や入れる位置はその都度異なりますが、いずれの時も千羽鶴は形を残していたそうです。
周りの意見
千羽鶴を棺桶に入れてくれたご家族は、「ありがとう」と言ってくれて、葬式の後に報告に来てくださいます。
娘や孫にこの話をすると、おばあちゃんの強く回復を願う気持ちが棺の中に残るのかもしれないね、と言います。
これからもできる限り周りの方へ、精一杯の行動をしていきたいと思う出来事でした。
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:Emi.A