こだわり続けた街中スタジアムどうなる…鹿児島市「中心市街地に限定せず」 「元々無理筋」との市議批判に、市長は「検討の過程として必要かつ有意義だった」 鹿児島市議会代表質問

鹿児島市議会の代表質問で答弁する下鶴隆央鹿児島市長=26日、市議会議場

 鹿児島市議会は26日本会議を開き、市民連合と自民の2議員が代表質問した。市は、多機能複合型サッカースタジアムの新たな候補地について、「交通アクセスなどを念頭に、中心市街地の活性化につながる場所が望ましい」と答弁。これまで検討していた中心市街地に限定せず周辺も含めて検討する考えを明らかにした。

 市は、スタジアム整備を人口減少時代に人を呼び込みにぎわいを生むまちづくりの一環と位置付け、鹿児島港本港区のドルフィンポート跡地や北ふ頭といった中心市街地での整備を掲げてきた。

 同日の本会議で下鶴隆央市長は、従来通り街中での整備にこだわるか問われ、「(これまでの経緯を)尊重しながら、候補地の選定を進めたい」と述べるにとどめた。多機能複合型の中身については、候補地の面積や周辺状況を踏まえた上で「整備に合わせて導入が望ましい機能を検討する」とした。

 また当局は、整備が可能な未利用の市有地はないとし、「さまざま場所を視野に入れて検討する必要がある」と答えた。

 市が北ふ頭整備の表明から8カ月で断念したことについて、登壇した議員は「元々無理筋だったとも思える話を真摯(しんし)に議論、検討してきた。じくじたる思いだ。(北ふ頭表明は)見切り発車だった」と詰めの甘さを批判した。別の議員は、下鶴市長が就任当初から整備実現に向け取り組み、時間と予算を費やしたものの「一歩も前に進んでいない」と、迷走する状況への責任をただした。

 下鶴市長は、スタジアム整備は一大プロジェクトで議論を深めることが重要とし、「検討の過程として必要かつ有意義だった」と主張。自身の責任に関しては明言を避けた。

鹿児島市がスタジアム整備を目指していた北ふ頭。貨物倉庫や旅客ターミナルが立つ=1月8日(本社チャーター機から撮影)

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