和倉、復活象徴に千本桜 10月まず200本植樹

オオシマザクラの苗木が植樹される湯っ足りパーク=七尾市和倉温泉

  ●「湯っ足りパーク」「和みの丘公園」で計画

  ●温泉観光協会や旅館協同組合 

 能登半島地震で被災した七尾市和倉温泉に10月、能登復興の祈りを込めて桜の苗木200本が植樹されることになった。和倉温泉観光協会などが日本さくらの会(東京)の協力を得て、将来的に千本の桜で彩る。建物の損壊や断水の長期化で旅館・ホテルが再開する見通しは立っていないが、桜並木を和倉復活と能登再興のシンボルとし、震災の記憶を後世につなぐ。

 和倉温泉観光協会や和倉温泉旅館協同組合の計画では、「湯(ゆ)っ足(た)りパーク」周辺の足湯前にある海岸、曹洞宗(そうとうしゅう)青林寺の裏に広がる「和みの丘公園」などに苗木200本を植樹する。

  ●塩害に強い品種で

 湯っ足りパークにはソメイヨシノが植えられているが、塩害で樹勢が衰えて花の数が減っている。このため、日本さくらの会は、塩害に強い品種で、白や淡いピンクの花を咲かせるオオシマザクラを提供する予定にしている。

 和倉温泉は震災後、22軒の宿泊施設全てが休業しており、建物や護岸などを含めると被害額は1千億円を上回る見込み。七尾を主会場に今年開催する予定だった日中韓の都市交流事業「東アジア文化都市」も中止が決まり、今後のイベントなども白紙となっている。

 断水の長期化も営業再開に向けた足かせとなっている。七尾市は3月中に和倉温泉への通水を再開するが、水を各旅館に引き込む配管は損傷が激しく、源泉を通す配管の復旧時期もめどが立っていない。

  ●月内にもビジョン

 こうした中、和倉温泉の観光協会や旅館協同組合、七尾商工会議所などは、新たなまちづくりの方向性を示す「復興ビジョン」を2月中にも策定する。観光協会の多田邦彦会長(多田屋会長)は「植樹する桜に和倉と能登の復興を見守ってもらいたい」と話した。

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