ロマンス、投資詐欺急増 福島県内1月の被害計1.8億円 昨年1年間の8割に 手口に共通項、県警が注意喚起

 SNS(交流サイト)やマッチングアプリなどを介し、相手の好意に乗じて支援金名目で財産をだまし取る「ロマンス詐欺」と、虚偽の投資話を信じ込ませる「投資詐欺」の被害が福島県内で急増している。1月は二つの手口で計6件、1億8269万円の被害が発生。被害額は昨年1年間の2億2902万円の8割に迫った。いずれも「非対面での接触」がきっかけとなるなど共通点があり、県警は手口の周知や注意喚起に力を入れている。

 

 県警本部生活安全企画課と捜査2課によると、県内ではロマンス詐欺は1月に3件、計3725万円の被害が出た。医師や外国の軍人らになりすまし、恋愛感情を抱かせて出資金や旅費、義援金などを求める手口が多い。外国在住の日系人を名乗り、「悲惨な現地から日本に帰りたい」と情に訴える場合もあるという。

 投資詐欺の被害は1月に3件あり、計1億4544万円がだまし取られた。田村市の50代女性が約1億円以上の被害に遭うなど、昨年1年間の被害額1億2326万円を既に上回っている。架空の投資話で利益が着実に出ているよう見せかけたり、「有名投資家とやりとりできる」などと偽ってSNSグループに誘い込んだりする巧妙さが際立つという。

 県警のまとめでは、昨年1月~今年1月に県内で起きた、ロマンス詐欺と投資詐欺のきっかけは【グラフ①】、被害者の年代は【グラフ②】の通り。SNSやマッチングアプリなど非対面の方法で接触、勧誘して以降もやりとりを継続。現金などをだまし取る手口が大半となっている。被害者は比較的経済力のある30代~50代の現役世代が多い。60代以上が被害に遭った例もあった。

 県警によると、ロマンス詐欺や投資詐欺は①長い期間、複数回のやりとりを経て相手を信じてしまう②幅広い世代が狙われる可能性がある③金銭を口座間でやりとりするため、水際対策がしづらい―など共通点がある。自宅訪問などの対面式の手口を中心に被害が拡大してきた「成り済まし詐欺」など、従来型の詐欺とは特徴が異なり、被害の抑止が難しいという。

 ロマンス詐欺と投資詐欺の合計被害額は1月の1カ月だけで、昨年1年間の成り済まし被害額約1億5712万円を上回り、深刻な状況だ。県警は防犯アプリ「POLICEふくしま」や啓発イベントを通し、詐欺の手口や注意点などの情報発信を強化する。

 

■ロマンス詐欺、投資詐欺の注意点

・面識のない人物からの誘いや要求には応じない

・投資話で紹介された事業者が金融庁に登録されているかを確認する

・振込先の名義人がやりとりした相手と異なる場合は詐欺を疑う

・個人名義の口座への振り込み指定に警戒する

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