「虎のような勇猛さと尽きぬ影響力」欧州初タイトルの遠藤航を現地メディア激賞! リバプールを120分間支え続け「どの選手にも競り勝った」

現地時間2月25日に行なわれたウェンブリースタジアムでのカラバオカップ(イングランド・リーグカップ)決勝、リバプールがチェルシーを延長戦の末に1-0で下し、2年ぶり通算10回目の優勝を飾った。
双方に幾度も得点機が訪れ、チェルシーはラヒーム・スターリングが、リバプールはフィルジル・ファン・ダイクがそれぞれゴールネットを揺らすもVAR検証で無効となるなど、一進一退の攻防を繰り広げ、延長戦もスコアレスのまま終えようとしていたが、118分、CKでニアに走り込んだファン・ダイクのヘディングシュートが今度こそGKジョルジェ・ペトロビッチの牙城を崩し、試合を動かすとともに、勝敗を決定づけた。

遠藤航は今回もアンカーとして120分間フル出場を果たして勝利に貢献し、リバプールではもちろん、2018年の欧州挑戦から初めてとなるチームタイトルを獲得。自身のSNSでは、この勝利を喜ぶとともに「このチームを誇りに思います」とも投稿したが、ユルゲン・クロップ監督はこの背番号3への賛辞を惜しまなかった。

「彼は良い成長を見せた。何度も言っているように、我々は運が良い。それは彼を獲得したことであり、明らかにワタルは、3年か4年後にリバプールで新たな長期契約にサインするだろうと確信している。パスポートでの年齢は30歳か31歳かもしれないが、実際の彼は違う。まるで機械のようだ。彼はサッカーという競技において非常に優れており、守備のマインドは素晴らしい。我々に多くの自由を与えてくれます。そう、最高の成長を遂げ、本当に、本当に役に立ってくれた」

現地メディアも高評価を下しており、10点満点の採点ではチーム2番目の「8」を遠藤に与え、「リバプールは689本、チェルシーは587本のパスを試みたが、パスの精度は(成功率)チェルシーの79.7%に対してリバプールが84%と上回った。これを中盤に絞ると、さらにリバプールは87.9%とさらに精度を増す(チェルシーは84.7%)。また個人で見ると、エンソ・フェルナンデス(76.7%)と遠藤(91.2%)では、前者が後者よりパス本数が22本多かったことを差し引いても(遠藤は68本)、違いが顕著だ」と綴っている。
日刊紙『The Guardian』は、「虎のような勇猛さと尽きることのない影響力。周囲に経験の浅い選手が多い中でも、パフォーマンスを維持した」と称賛し、採点では最高殊勲者であるファン・ダイク、決定的な場面での好守でチームを救ったGKクイービーン・ケレハーと並んでチーム最高点となる「9」を付与した。
一方、『THE Sun』紙は、「日本のスター選手はエネルギッシュなプレーを披露。GKケレハーがコール・パーマーのシュートを弾いた後、ニコラス・ジャクソンのリバウンドを防ぐために身体を張るなど、積極的なプレーが目立った。しかし不運なことに、ファン・ダイクのゴールが無効とされたFKの場面では、レビ・コルウィルの動きを妨げたことで、最初の立ち位置がオフサイドと見なされた」と遠藤のプレーを振り返り、「7」の高採点としている。

また『Mirror』紙は、「クロップ監督が今季の負傷者続出のために交代選手に若手しか起用できなかったことで、延長戦の顔ぶれの中ではファン・ダイクとともに最も経験豊富な選手となった」遠藤が足首を痛め、試合後に松葉杖をつき、左足に保護ブーツを履いてスタジアムを後にしたことを報道。同メディアは遠藤が28分で負傷交代したライアン・フラーヘンベルフとともに「負傷者リストに名を連ねた。リバプールの苦境はさらに厳しいものとなっている」と伝えた。

『Daily Mail』紙は、ファン・ダイク、ケレハーに次ぐ評価で「8.5」の高採点を遠藤に与え、「ボールを受けるために常に動き、リバプールの守備陣を完璧にカバー。日本代表のキャプテンはクレバーな6番としてのプレーで、多くのチェルシーのカウンターアタックを阻止した」と、そのプレーを称賛している。

続いてリバプールの地元メディアでは、日刊紙『ECHO』が「チームがハイプレスをかける中でタックルを成功させるなど、印象的なスタートを切った。チェルシーが落ち着き始めると押し込まれるようになったが、ボールを奪い続けた。(ファン・ダイクのゴールが無効になった場面では)オフサイドポジションに立ち止まっていたため、ゴールが認められなかった」と、こちらもポジティブな記述で、採点は「9」だった(チーム2番目タイ)。
総合サイト『Liverpool World』の採点は「7」で、「前半では幾つか重要なタックルを決め、ボールを上手く捌いた。後半早々に放ったシュートは外れたが、粘り強く戦い続けた」と記述。
そしてクラブ専門サイト『THIS IS ANFIELD』は、「中盤で素晴らしいプレーを披露し、若い選手が多いチームの中でその経験を活かした。ウェンブリーでの日本人選手は、パス成功率が91%、デュエル(地上)では計11回の勝利を飾った」として、チーム3番目となる「8.5」を与えている。

最後に『INDEPENDENT』紙は、「ウェンブリーのピッチの中盤には、2人のワールドカップ優勝メンバーや、1億ポンド以上の価値がある2人のMFもいたが、最高のパフォーマンスを見せたのは、シュツットガルトから1600万ポンドの移籍金で加入した選手だった。リバプールの先発メンバーたちの足がもう限界に達した時でも、疲れ知らずの遠藤はピッチをカバーし続け、『レッズ』を前進させ、チェルシーのどの選手にも競り勝った」と遠藤の120分間を、賛辞をもって総括した。

構成●THE DIGEST編集部

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