能登半島地震の被災高齢者施設支援 大山会長の全国老施協、栃木県から8人現地入り

被災地の特別養護老人ホームに支援物資を届けた全国老施協の大山さん(左から2人目)=1月30日、石川県能登町(全国老施協提供)

 能登半島地震を受け、社会福祉法人蓬愛(ほうあい)会(芳賀町)の大山知子(おおやまともこ)理事長が会長を務める全国老人福祉施設協議会(東京都・全国老施協)が、高齢者や障害者ら要配慮者を支援する独自の災害派遣福祉チーム(DWAT)の派遣に注力している。26日までに石川県内の10カ所にチームを送り出した。本県からも介護職員ら8人が現地に入った。全国の施設から協力を得ているが、介護人材不足の現状も重くのしかかる。被災地を視察した大山さんは「災害に備える大切さを改めて実感した」と話す。

 全国老施協には、各地の約1万1千の高齢者福祉・介護施設などが加盟する。現場が抱える課題改善に向け、各種事業を行う。大山さんは2023年6月から会長を務め、災害対策本部長を兼務している。

 全国老施協は能登半島地震が発生した元日夕、災害対策本部を設置した。被災した石川県の老人福祉施設協議会や厚生労働省などと現地の状況も共有した。

 主な支援は、自治体とは別のDWAT派遣だ。発災後、被害が甚大な輪島市や能登町の施設では、職員が家に帰れず施設に寝泊まりしてケアに当たり、疲労がたまる状況があった。避難のため退職を余儀なくされるケースも。金沢市周辺では被災施設から高齢者を受け入れたものの、人手不足に陥った施設もあった。

 全国老施協はこれまでに、北陸や東海、関東の高齢者福祉施設の介護職員や看護師らを石川県の特別養護老人ホーム10カ所に派遣した。1チーム数人で構成。本県からも介護職員ら計8人が能登町や白山市の施設に入り、介護に当たった。

 1月16日現在、全国老施協のDWATには本県を含む全国の656施設、1313人が事前登録する。今回も各地の施設の協力を得たが、大山さんは「慢性的な介護人材不足もあり、協力したい気持ちはあっても職員を出せない施設もある」と厳しい状況を語る。

 大山さんも1月末、能登町の高齢者施設などを視察。備蓄していた食料では足りなかった状況などを見聞きした。「災害は先の話ではない。普段からの備蓄や職員の体制づくりが大切」と痛感したという。

 災害時に施設が支援拠点になり得ると指摘し、「施設が地域の高齢者を受け入れたり、地域の力を借りたりできるよう、助け合える関係を構築することが大切」と訴えた。

全国老施協が派遣したDWAT。本県の派遣隊(左列)の支援後、他県の派遣隊に引き継いだ=2日午後、石川県白山市(全国老施協提供)

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