映画『デデデデ』完成披露舞台挨拶を実施 幾田「クソヤバい映画になっています!」&あの「皆さんの反応が楽しみ!」

実写映画化もされた代表作『ソラニン』や、累計発行部数300万部を超える『おやすみプンプン』、そして、現在『ビッグコミックスペリオール』にて連載中の『MUJINA INTO THE DEEP』など、数々のヒット作を生み出し続ける漫画家・浅野いにおによる傑作漫画『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション』(通称・デデデデ)。2014年より『週刊ビッグコミックスピリッツ』(小学館)にて連載が開始された本作は、突如東京上空に巨大な宇宙船、通称“母艦”が襲来し、絶望的に思えた異常事態も次第に日常へと溶け込んでゆく世界で、日々の青春を謳歌する少女たちの物語。第66回小学館漫画賞一般向け部門、第25回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞を受賞したのち、2022年に全12集をもって堂々完結を迎えました。そんな本作が2024年、3月22日(金)前章、4月19日(金)後章の2章立てにて全国劇場公開が決定。

この度、2月26日に完成披露舞台挨拶を実施し、作中で登場する国民的まんが『イソベやん』を溺愛し、担任教師の渡良瀬に思いを寄せる小山門出役を務めた幾田りらと、門出と小学生の時からの親友で戦争ゲームオタクの中川凰蘭(通称・おんたん)役を務めたあの、そして原作者の浅野いにおがイソベやんに扮して登壇。イベントではアニメ映画化の制作裏話や主演2人のキャスティング、コラボした主題歌の話題など、たっぷりと語りつくしてくれました。

[イベント・レポート]
人気漫画家・浅野いにおによる同名コミックをアニメーション映画化した『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 前章』(3月22日公開)がついに完成!その完成披露試写会が2月26日に都内で実施され、声優を務めた幾田りら、あの、そしてイソベやん(着ぐるみ)が登壇した。

ステージ上には劇中に登場する母艦を1/1000スケールで再現したリアルな巨大模型が鎮座。主人公・小山門出を演じた幾田は初お披露目に際して「映画がもっとワクワクするようなお話をさせていただけたら」と笑顔で挨拶し、もう一人の主人公“おんたん”こと中川凰蘭を演じたあのも「今日はお越しいただきありがとうございます!」と嬉しそうに挨拶した。

ちなみにキャスト陣と登壇したイソベやんは、劇中で門出の愛読書に登場するキャラクター。その説明を幾田がし始めると、イソベやんは自分が話しているかのように身振り手振りでジェスチャー。これに幾田とあのが「イソベやんの中の人を紹介したいと思います!」と呼び掛けると、イソベやんがもぞもぞと脱皮をし始めて、なんと中から出てきたのは原作者の浅野いにお先生。観客が驚きの声を上げる中、浅野は「藪から棒にすみません」と照れ笑いを浮かべながら「着ぐるみの中でずっと中腰だったので…」と体を張ったサプライズ登場となった。

本作の原作は、2014年から2022年まで約8年間連載された全12巻の大作。原作の誕生経緯について浅野は「当時は大規模な災害や人々の価値観の変化が顕著な時期だったので、それをモチーフに漫画が描けないものかと思った」と着想を回想した。

そんな原作について幾田は「ページを開いてすぐに浅野先生の画力と人の表情の裏の裏の裏の感情まで出ているような表情や強い言葉に惹かれました。どんどん世界にのめり込んでしまう作品でした」とゾッコン。あのも「二人のホノボノした生活と柔らかさに反してストーリーの鋭さやリアルさ絶望さがクセになって、僕もドはまりしました」とすっかりお気に入りだった。

本作は浅野作品初のアニメ化。これに浅野は「僕はひねくれている人間で描く漫画もニッチなものが多い。そんな中で本作に関しては王道的な内容になっていたので、ここでアニメ化を断ったら生涯アニメに関われることはないだろうと即決で快諾しました」とアニメ化の経緯を説明。そんな記念すべき作品で声優デビューを果たしたあのは「声に特徴があると言われることが多くて、元々声優業には興味がありました。こんなに早くお話をいただけて良かった」と大喜び。二度目の声優業となる幾田は「浅野先生からは『幾田さんの演じる門出がみんなの門出になるから、そのままでやってほしい』と言われました。緊張と責任を感じたけれど、その言葉を信じて演じようと思いました」と意気込み十分だった。

原作者としてオーディションやキャスティングにもコミットした浅野。あのの起用については「オーディションでのあのちゃんのテストで現場の雰囲気が一変した」と振り返り、幾田については「普通でありながらあのちゃんの横に並んでもバランスの良い人は誰かと考えた時に、この組み合わせ以上のものはないと思った。『原作者がどうしてもと懇願しています』という言葉を添えました」と納得の起用だと説明した。

ちなみにこのキャスティングは二人の大ブレイク前に決まっていたことから、浅野は「お二人とも紅白に出ているんですよ!この作品が決まった後にYOASOBIが有名になって…。凄いと思いませんか!?ここまでなるとは僕も思わなかった。巡り合わせというか、たまたまです」と現在の二人の飛躍ぶりにビックリしていた。

一方、幾田は「初めて二人で演じたのが喧嘩するシーン。殴ったり殴られたり、台本にはない音を入れたりして難しかった」とあのとの初共演を振り返ると、あのも「二人が初めて揃うことから、満を持して!みたいな空気が現場にあった。変に緊張感を出している人もいてドキドキした。でも上手くいった感じはあります」と手応え。浅野も「お二人は勘所が良い。非常に素晴らしい演技をしてくれました」と絶賛していた。

前章の主題歌『絶絶絶絶対聖域』と後章の主題歌『青春謳歌』はあのと幾田それぞれがフィーチャーリングして歌っている。あのは「僕はシャウトやデスボイスを使うのが好きなので、それを幾田りらにやらせたいと思った。グチャグチャな破滅とホノボノ願望を詰め込みたいと思って、歌詞もいまだかつてないくらい真剣に寝る時間を削って白目を剥いて書いて、本当に思い入れがあります。この曲で“悪”幾田りらを引き出したかった」と狙いを明かすと、幾田も「はい、“悪”幾田りらになりました」と新境地開拓を実感していた。

幾田は楽曲について「原作漫画を読み終えた時にどんな音楽が流れて来てほしいかを考えて、小山門出と中川凰蘭のくだらない日常会話が聞こえてくる曲が欲しいと思った。その思いを基に曲を作ってあのちゃんの声をイメージして歌詞を書きました」と解説。あのは「自分の楽曲にはない感じで、日常にもフィットしていつ聴いても心地良いと思えるメロディー。家でも口ずさんでいます。歌っていても楽しくて素敵な曲です」と気に入っていた。

浅野はこの2曲について「お二人ともニーズをわかっていて、曲の方向性も素晴らしく映画の内容に合うものだった。『青春謳歌』にはお二人の会話も挿入されていたりして、何を言っているのか聞き取れなかったけれど、青春感があっておっさんである僕は聴きながら遠い目をしていました」とノスタルジーに駆られていた。

最後に幾田は「本当にクソヤバい映画になっているので最後まで楽しんでほしい」とアピールし、あのは「まずは前章ですが皆さんの反応が楽しみ!」と期待。浅野はアニメ製作に5年以上の歳月をかけ、自身も直接、シナリオ会議をはじめ様々な事柄にかかわってきたことをあげ、作画に関わったシーンもあり、今日完成披露でお客様に観て頂く作品も公開までに修正が入ることを話し、「制作スタッフの皆様は、本当に頑張って尽力してくださっています。僕もやれることはすべてやってきて、今もやっているいる最中です。全員が納得いくクオリティで作ることは本当に難しいんだなと感じました。この企画を発案してくれたプロデューサーや監督、製作スタッフ、声優陣に感謝しています。そして、主演のお二人は素晴らしい演技をしてくれて、お二人は絶対の存在です。漫画原作の映像化には色々なことがありますが、でもこれはお祭りですので、どうか皆さん楽しんで帰ってください!」と観客に呼び掛けていた。

©浅野いにお/小学館/DeDeDeDe Committee

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