ロシアによるウクライナへの軍事侵攻開始から2年が経過しました。岩手県北上市在住で母国への支援を続けるウクライナ出身の女性が現在の心境を語りました。
「他の国に入って人をたくさん殺すのはいい加減やめてほしい」
23日、岩手県北上市のホールでロシアの侵攻について語るのは、市内に住むウクライナ出身のトムシンスカ・ナターリアさんです。
ロシアがウクライナへの軍事侵攻を始めたのは2022年2月24日。国連ウクライナ人権監視団は侵攻開始から2月15日までに、ウクライナで少なくとも1万582人の民間人が殺害されたとする報告書を22日に発表しました。負傷者は1万9000人以上としていますが、実際の死傷者数はこれを大幅に上回るとみられています。
(トムシンスカ・ナターリアさん)
「痛みしかない。毎日人が亡くなっていく。町が存在しなくなっていくのは立ち直るのも大変」
20年近く北上市に暮らすナターリアさんは、ロシアの軍事侵攻後、ウクライナから日本に避難してくる人の支援を行いながら、県内各地で講演し、ウクライナへの支援を呼びかけてきました。
「これは公園。人気ある。子ども遊びに来る。なんで撃つ。子どもたち遊んでいる」
講演会場で寄せられた募金はウクライナで活動するボランティアに送られ、発電機などを購入する費用に充てられています。
(講演会に足を運んだ人)
「涙が止まらない。私たちもいろいろ応援していかないといけない」
23日、ナターリアさんは、親交があり現在もウクライナで市民への食糧の支援などのボランティア活動を行うアンドリーさんに、インターネットの通話サービスを利用して現状を聞きました。
アンドリーさんは、身に危険が及ぶためフルネームを明かすことはできないといいます。
(アンドリーさん)
「少なくとも(1日)5回は(ミサイルの)警報鳴る」
アンドリーさんは日々の生活を脅かされながらもボランティアを続けているといいます。
(アンドリーさん)
「今までロシアが入っていなかったところも(攻撃が)近くなってきていて、被害も出ている。もっと大きな被害になるのでは。今度(南部)ザポリージャに食べ物を持っていきたい。通ってきた村とか大きな町とかで何もない場所がある。聞くと学校だったとか。まず先にミサイルが来る」
ウクライナで日々厳しい現実を目の当たりにしているアンドリーさんの心の支えとなっているのが、日本からの支援だといいます。
(アンドリーさん)
「お金だけじゃなくて、遠い、遠い国で味方をしてくれているのがすごい力になる。本当にありがたい」
(ナターリアさん)
「(2年になり)疲れと痛みが大きい。何とか過ごしている」
軍事侵攻から2年、一刻も早い平和的な解決を願って、ナターリアさんは母国への支援を続けます。