ウズラの卵、給食で提供中止 群馬県内の6市町村 福岡の児童死亡受け

 福岡県みやま市で、小学1年生の男子児童(7)が給食をのどに詰まらせて死亡した事故を受け、群馬県内の自治体は27日、小中学校や調理施設に注意喚起を行った。児童はおでんに入っていたウズラの卵を詰まらせたとみられ、沼田、安中両市など少なくとも6市町村はウズラの卵の提供を一時的に取りやめるなどの方針を決めた。

 各校で調理する「自校方式」が多い高崎市では同日午前、小中学校や共同調理場に、食べ方の指導や食べる時間を十分に確保することなどを促すメールを送った。みなかみ町では、新治給食センターの栄養士が新治小を訪ね、「正しい姿勢で食べる」「人を驚かせない」などと記したチラシを担任教諭に手渡した。

 献立を見直す自治体もあった。安中市は28日以降の給食にウズラの卵を使わないことを周知。大泉町も年度内の使用をとりやめ、吉岡町は4月分までの使用を中止した。下仁田町、南牧村も中止する方向で検討している。

 厚生労働省の人口動態調査を基にした消費者庁の分析によると、2014~19年の6年間で、食べ物の誤嚥(ごえん)で14歳以下の子どもが80人死亡した。このうち、5歳以下が9割を占めた。かみ砕いたり、飲み込んだりする力が足りないため、ナッツなどを5歳以下の子どもに与えないよう呼びかけている。丸くて滑りやすいミニトマトやぶどうも、不意にのどに入るリスクがあるとしている。

 前橋市教委の担当者が「食の大切さや伝統を伝える上で、何でもかんでも規制することは難しい」と話すように、各自治体はさまざまな工夫で誤嚥予防に取り組んでいる。南牧村にも給食を提供している下仁田町学校給食センターは、すいとんを出す場合は手作りし、かみやすい形に整えている。渋川市では、8が付く日を「かみかみデー」として、よくかむことの意識付けを図っている。

 管理栄養士で、日本栄養士連盟県支部の黒岩董子(まさこ)名誉会長(85)は「誤嚥を防ぐには十分にかむことが基本。学校任せにせず、家庭でも習慣付けをしてほしい」と強調している。

対処法は「胸骨圧迫」

 前橋市消防局によると、気道に異物が入ると、苦しそうに首元を手で抑えるなどのしぐさに表れることが多い。

 周囲の人が異変に気付いたら、①左右の肩甲骨の間を手のひらで強くたたく②背中側から手を回し、みぞおちとへその間に片手で握りこぶしを当て、反対の手を添えて絞り上げるように圧迫する(乳児には行わない)―を試すことが望ましい。

 意識不明で呼吸もない場合は、胸骨圧迫が推奨される。他の救助者に、119番通報とAED(自動体外式除細動器)の用意を依頼することも大切だという。

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