世の中には、多種多様なネーミングの会社や団体が存在しています。「なぜ、その名前なの?」と、思わず理由を尋ねたくなる店も。その一つが、「人間大学」です。行われていたのは、ギターレッスンです。主宰者の教え子には、Official髭男dismのメンバーもいるようです。
島根県松江市にあるライブスペース。
能登半島地震の被災者を支援する目的でチャリティーライブが開かれていました。
ステージに立つのは皆、ミュージシャンたちです。
このチャリティーライブを呼び掛けたのが、「人間大学」の主、けんじゃさんです。
けんじゃさんは、松江市を拠点に活動する、プロのミュージシャンです。
一体、どんな人なのか、ミュージシャンに聞いてみると…
シンガーソングライター 門脇大樹さん
「根がめちゃくちゃ優しくて、僕もけっこう怒られたりとか、いろんなこと教えてもらったりしたが、とくに30代・40代のミュージシャンはすごく影響を受けてるので、レベルも上がってるのもけんじゃさんの存在があったからと思います」
けんじゃさんがチャリティーライブを呼びかけた理由。
それは、自身が、阪神淡路大震災で母親や恋人を亡くした体験から、今なおPTSDを抱える身として、被災者への深い共感を覚えるためです。
神戸市出身のけんじゃさんは、以前はプロとして東京・大阪などの音楽シーンで活動していましたが、震災で何もかも無くし、縁あって松江市へと移り住みました。
そんな、けんじゃさんが開いた「人間大学」は、市街地からやや離れた場所にあります。
中に入ってみると…
ギターのレッスンが行われていました。
人間大学は、ギターやベースの教室の場。
けんじゃさんは自身の音楽活動の傍ら、この場所で、次世代を育てる活動も行っています。
(Q.どんな先生ですか?)
ギター教室の生徒さん
「怖いです。怒られたことはないですけど」
けんじゃさんの教え子の中には、今では超売れっ子となった人も。
人間大学 けんじゃさん
「Official髭男dismのギターの小笹くんとベースの楢﨑くんは教えてました」
また、楽器の修理も手掛けます。
人間大学 けんじゃさん
「ギターをかつてのヴィンテージの音に近づけます」
この日、けんじゃさんの元には、幼馴染で親交のあるプロギタリストの富永寛之さんが訪ねて来ていました。
(Q.けんじゃさんの人柄は?)
プロギタリスト 富永寛之さん
「自分が主役にというより、みんなで何か作るっていうのは子どもの頃からそういう人だったんで、その通りの人生歩んでるんだなって」
小学5年生でギターを始め、16歳でプロとして演奏するようになったという、けんじゃさん。
「人間大学」という言葉には、けんじゃさんが尊敬してやまないある人物の存在がありました。
(Q.人間大学の由来は?)
人間大学 けんじゃさん
「僕の心のベースの師匠でもある江川ほーじんさんというベーシストがいて、その方の教則ビデオで『人間大学へようこそ』っていう決め台詞を言ってて、その語感が好きで。ほーじんさんと出会う機会があって、勝手に使ったけどいいですかって言ったら、いいよいいよって」
江川ほーじんさんは、2018年に交通事故に遭い、意識不明に。意識が戻った今も体の自由が利かない状態だと言います。
(Q.人間大学に込めた思いは?)
人間大学 けんじゃさん
「人間大学っていうと、自分も襟を正して礼儀正しくであったり、人の優しくであったりとかという意味合いもあるので、これからも人間大学で続けていきたいです」
そんな、音楽とともに人生を歩む、けんじゃさん。
「人間大学」とは、彼の生き方そのものを表しているようにも感じられます。