長崎県松浦市は27日、過疎地域や離島へのドローン配送の実現に向け、物流大手のセイノーホールディングス(HD)など4社と包括連携協定を結んだ。実証飛行を重ねて新たな物流のビジネスモデルを構築する。
時間外労働の規制強化に伴い物流業界の人手不足が懸念される「2024年問題」を見据え、過疎地や離島が直面する物資輸送の課題を解消するのが狙い。
協定を結んだのは他に、物流ドローンを手がけるエアロネクスト、モバイル通信で機体の遠隔運行を支援するKDDIスマートドローン、実証飛行の結果から課題を分析する電通九州。
連携は▽農業、観光、産業、経済の振興▽地域雇用や人材の教育・育成、産業基盤の育成▽カーボンニュートラルと利便性が両立した持続可能な地域交通・物流の確保と住みやすい環境づくり-など5項目。
昨年11月には鷹島町で実証飛行を3回実施。卵や総菜、アジフライなど計2キロ分の食料を積んだドローンが道の駅「鷹ら島」から同町の離島、黒島までの片道約6キロを13分間でつなぎ、島民へ届けられた。
友田吉泰市長は実証飛行のめどを3年間とし「(新たな)手段があっても誰が運営するのか。事業者を育てるための開発も指導いただき、その状況が整って初めて運用ができる」と話した。
エアロネクストの田路圭輔CEOは「トラックの配送とドローンがいかに融合できるかが継続的な物流への観点。ものを届けることで住民の課題を聞き、さまざまなサービスを松浦市と研究しながらつくっていきたい」と意欲を語った。