米マイクロソフトと仏ミストラルAIの提携、EUで調査求める声

Martin Coulter Foo Yun Chee

[ロンドン/ブリュッセル 27日 ロイター] - 米マイクロソフトが26日、フランスの人工知能(AI)新興企業ミストラルAIとの提携を発表したことで、巨大ハイテク企業による寡占の懸念が広がり、欧州連合(EU)欧州議会から調査を求める声が上がっている。

マイクロソフトを巡っては、生成AI「チャットGPT」を開発した米オープンAIとの提携が、EUの独占禁止法に違反している可能性が既に欧州委員会から警告されている。

マイクロソフトがミストラルに1500万ユーロ(1600万ドル)を投資済みで、同社のAIモデルを自社のクラウドサービス「アジュール」を通じて利用できるようにすると発表したことは、欧州議会の議員らにとって青天の霹靂(へきれき)だった。

マイクロソフト広報担当者は26日、ロイターに対し、ミストラルの次回の資金調達ラウンド時に、投資が株式に転換されることを確認した。

一方、マイクロソフトは先にオープンAIへの投資を巡る規制当局からの圧力をかわすため、株式を保有しているわけではないので同社を支配できない、と釈明していた。

欧州議会は昨年、EU全域に適用される「AI法」の策定を進めてきた。ミストラルは水面下で、法律を厳しくし過ぎると欧州の新興企業が米巨大ハイテク企業と闘うチャンスを損ねることになると訴え、一部のAIシステムについて法の適用除外を働きかけていた。

そうした中で今回マイクロソフトとの提携が発表されたことで、一部議員はミストラルのロビー活動の動機に疑問を投げかけている。

またフランスはドイツやイタリアと並び、ミストラルのような欧州新興企業を守るために生成AIモデルを開発する企業への法適用免除を訴えてきた。

AI法案の策定に関わったある欧州議員は「『欧州のチャンピオン企業』にはルールを適用しないというお題目の下、AI法は崩壊したも同然だったが、このざまだ。欧州の規制当局は手玉に取られたのだ」と怒りを露わにした。

アレクサンドラ・ギース議員は「世界に類を見ないカネと権力の集中であり、調査してしかるべきだ」と述べた。

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