山間部に「演劇小鎮」が誕生、舞台芸術で農村発展 中国江西省会昌県

山間部に「演劇小鎮」が誕生、舞台芸術で農村発展 中国江西省会昌県

会昌演劇小鎮で初上演された話劇(新劇)「暗恋桃花源」茶摘み歌舞版。(1月10日撮影、会昌=新華社配信)

 【新華社上海2月28日】中国東南地区の山間部に位置する江西省贛州(かんしゅう)市会昌県に今年初め、新しい「演劇小鎮」が誕生した。

 同県は伝統的な農業県で、ビーフン加工やかんきつ類の栽培、籐編みで知られている。会昌演劇小鎮は開業から1カ月余りの間に「開幕シーズン」と「春節(旧正月)シーズン」の二つの大型プログラムを実施、公演回数は100回を超えた。県内と周辺地域の人々が観客として熱心に小鎮を訪れている。

山間部に「演劇小鎮」が誕生、舞台芸術で農村発展 中国江西省会昌県

会昌演劇小鎮の会劇場で音響を調整する、会昌県城(中心市街地)出身で「95後」(1995~99年生まれ)世代の音響技師、朱忱(しゅ・しん)さん。(2月8日撮影、会昌=新華社配信)

 小鎮の建設は上海市徐家匯(じょかかい)の「上劇場」が主な発起団体となった。同劇場は会昌県が原籍の著名演出家、頼声川(らい・せいせん)氏が芸術総監督を務めている。頼氏にとって、ふるさと会昌で新しい演劇小鎮と演劇シーズンを立ち上げることは、故郷の発展を支える重要な試みといえる。

 70歳近い頼氏は、故郷の一本の木から一本の草まで全ての事柄について常に気にかけている。ここ数年はチームを連れて上海と江西を行き来し、演劇文化で地元の農村振興を後押ししている。

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会昌演劇小鎮の街灯に取り付けられた辰(たつ)年春節(旧正月)公演シーズンの広告。(2月8日撮影、会昌=新華社配信)

 上劇場は2017年から、会昌県限定で劇場スタッフを募集し、演劇を志す多くの若者が山を出て、徐家匯で技術を学んでいる。朱忱(しゅ・しん)さんもその一人。同劇場が会昌演劇小鎮の開設準備を進めていた5~6年の間に、プロの舞台音響技師に成長した。小鎮開業の直前に会昌の実家に戻り、今度は小鎮で舞台運営に携わることになった。

 「私たちは劇場の理念と文化を故郷に持ち帰り、活性化を支援していく」と話す朱さんは、身に付けた技術で故郷に恩返しができるようになった。家族の近くで安定した仕事にも就き、将来への自信に満ちあふれている。

 舞台芸術はここ数年、若者に新たな就業の機会を創出しており、会昌演劇小鎮はその縮図といえる。小鎮の入り口にある和声演劇技術学院では既に学生募集も始まり、開校後は毎年100人余りの舞台技術者を輩出することになる。(記者/許暁青、白瀛、高皓亮)

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13日、会昌演劇小鎮の舞台に立つパントマイムの役者。(会昌=新華社配信)

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14日、会昌演劇小鎮で野外公演を行う劇団。(会昌=新華社配信)

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演劇小鎮で合同取材を受ける著名演出家で小鎮の発起人の頼声川(スタン・ライ)氏(左)。(1月5日撮影、会昌=新華社記者/許暁青)

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会昌演劇小鎮の園林劇場で上演された没入型演劇「鏡花水月」の一場面。(2月9日撮影、会昌=新華社配信)

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会昌演劇小鎮の夜景。(1月6日撮影、会昌=新華社記者/許暁青)

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