「次を最後にしていただきたい」北朝鮮指揮官が終了をリクエスト。緊迫感漂う異例の会見に「試合が終わったら、たくさんお話します」

独特な緊迫感が漂う異例の会見となった。

北朝鮮女子代表は2月28日、パリ五輪・アジア最終予選でなでしこジャパンと対戦。27日には試合会場の国立競技場で前日会見が行なわれた。

記者陣の前に姿を現したリ・ユイル監督は、時折、大きな声で笑ったり、韓国記者の問いの中身に対して嫌悪感を示す場面も。様々な感情を表に出しながらも、しっかりと一つひとつの質問に向き合い、丁寧に回答していた。

「代表チームのパワーはどこからきているのか?」との質問には、「非常に簡単な質問ですね」として、こう思いを述べた。

「サッカーをするうえでのパワーの原動力は、国を代表して戦っているという点で、国を輝かせたい、という気持ちが強いと思います。そして、やはり選手本人もそうですが、家族、両親、兄弟、親戚、友人たち、多くの人たちが期待をしてくれている。その期待にぜひとも応えたい、そういった気持ちが強いのではないでしょうか」

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25日の夜に来日した北朝鮮女子代表は、到着した空港で多くのサポーターや関係者の出迎えを受けた。

リ・ユイル監督は、「空港に到着した時に、選手たちも、若い選手が非常に多いので、日本に来るのは初めてです。来たこともない異国ということもあって、不安な気持ちもありましたが、同胞たちが空港で熱烈に歓迎をしてくれた。本当に嬉しかった」と喜びを語った。

日本戦の北朝鮮側応援席のチケット3000枚はすべて完売。指揮官は続けて、「明日はさらに3000人もの応援団が競技場を埋めてくれるとうかがっているので、私も含め、選手もチーム一同が、まるで異国に来たのではなく、ホームでやるような、自分の家に帰ってきたような、温かい気持ちになっている。この応援に応えるためにも、明日はベストを尽くして良い結果を残したい」と意気込んだ。

会見が始まってから15分が過ぎた頃、司会者が「次の質問は…」と発した直後、リ・ユイル監督は「これを最後にしていただけないでしょうか。試合が終わったら、たくさんお話しますので、次を最後にしていただきたい」とリクエストした。

大一番前の会見だけに質問は尽きなかったが、指揮官の要請もあって少し早めに終了した。

取材・文●手塚集斗(サッカーダイジェストWeb編集部)

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