卒業式、受験…気をもむ中高 県内コロナ患者数高止まり・マスク着用は生徒判断、専門家「予防意識上げて」

窓を開け、加湿器や二酸化炭素濃度測定器などを設置し、感染予防対策に取り組んでいる3年生の教室=山形市・山形三中

 県内で新型コロナウイルス感染症の患者数が高止まりとなっている。この状況に「影響があってはいけない」と気が気でないのは卒業式や3月7日の県公立高校入学試験を控えた高校、中学校の関係者だ。教室の換気など可能な限りの感染予防対策に取り組んでいるが、5類移行を踏まえ、マスク着用などは基本的に生徒の判断に任せている。医療関係者は「大切な行事を前に、予防意識をもう一段階上げてほしい」と警鐘を鳴らす。

 県によると、直近の発生動向は徐々に減少している一方、内科などが専門の古川医院(米沢市)の古川匡和院長(57)は「実感として新型コロナの患者数は全然減っておらず、増えている印象すらある」と分析する。古川院長は季節性インフルエンザとの同時流行にも懸念を示し「高校生などでマスクを外した姿が目立つ。5類移行で感染対策に緩みが生じてしまっている」と指摘する。

 学校現場の具体的な対策はどうなっているのだろうか。山形市の山形三中(丹羽英樹校長)では授業中、教室の窓を開け、加湿器や二酸化炭素濃度測定器を活用し、受験本番に備える。山形六中(栗田和真校長)も密集を避けるため全校集会を放送で行い、授業の合間には全教室の換気を呼びかける対策を強めている。鶴岡市の鶴岡二中(和田恭司校長)は給食の前や体育で使うボールなど共有物を触った後の手洗いを徹底し、給食も対面にしないようにしている。

 公立高校の多くは3月1日に卒業式を控えている。寒河江市の寒河江高(地主好校長)はマスク着用を個人の判断に委ねているものの、「生徒、職員は気を配っている」と地主校長は話す。白鷹町の荒砥高(地主佳子校長)は1月下旬にコロナ感染者が増えたが、現在は落ち着いているという。3日の卒業式は発熱などの体調不良者の出席自粛にとどめる方針だ。

 県教委は5類移行を踏まえ、現時点で感染予防対策に関する通知を出していない。担当者は「警報が発令されれば検討する」と述べた。

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