「より力強く、機動力も上だ」 英紙が評価うなぎ上りの遠藤航と前任ブラジル人選手を比較! リバプールOBからは「持続的な貢献は今後も不可欠」

延長戦に突入する激闘の末、リバプールがフィルジル・ファン・ダイクのヘッド弾でチェルシーを1-0で破り、通算10回目の優勝を飾ったカラバオ・カップ決勝で、フル出場を果たした遠藤航は、中盤での精力的かつ効果的なプレーにより、現地メディアから大絶賛されることとなった。

英国の日刊紙『INDEPENDENT』は、「ウェンブリーでの素晴らしいプレーが遠藤の急速な復活劇を完成させた」と題した、遠藤にのみ焦点を当てた記事を掲載。多くの高額なワールドクラスのMFがピッチに立つ中、シュツットガルトから“わずか”1600万ポンド(約31億円)でシュツットガルトから加入した日本代表キャプテンが、最も優れたプレーを披露したと伝えている。

「リバプールに経験豊富な選手が徐々に不足し、時間の経過とともに選手の足も止まる状況下で、フル出場の遠藤が疲れ知らずの動きでピッチをカバーし続け、『レッズ』の攻勢を保ち続けるとともに、チェルシーのどの選手相手にも勝利を収めた」と綴った同メディアは、さらに以下のように賛辞を続けた。
「彼の欧州での最初のトロフィーは、最も価値のあるものではないかもしれないが、明らかに称賛されるべきものであり、決勝点を挙げたファン・ダイク、決定的ピンチを防いだGKクイービーン・ケレハーとともに、この日本代表選手はこの試合における、リバプールの成功の最大要因であると言える」

「この勝利は、遠藤が2017年(浦和レッズ時代)にAFCチャンピオンズリーグに優勝してから7年ぶりのこと。その前年のJ1(セカンドステージ)とJリーグカップ、2014年(湘南ベルマーレ時代)の2部リーグ制覇(J2)の4つが、彼がこれまでのプロキャリアで獲得した全タイトルだが、今季だけで同じ数のタイトルを、彼自身の大貢献によって手にする可能性も否めない」

首位に立つプレミアリーグの他、FAカップ、ヨーロッパリーグも残しているリバプールにおいて、ユルゲン・クロップ監督に重宝され続けている遠藤。「それこそが彼のクオリティーの高さの証拠だ」という同メディアは、「マージーサイド到着時の日本人選手には当初迷いがあったものの、彼の学習曲線は高く、自身の役割をしっかりマスターするという課題に真摯に取り組んだ」と、遠藤の姿勢についても高い評価を下している。 また、彼のポジションであるアンカーの前任者、ファビーニョ(現アル・イテハド)と比較して、「ブラジル人選手は守備の楯であり、時折破壊者となり、また過小評価されがちながらも優れたボールプレーヤーだったが、これらの特性を遠藤も独自のスタイルで兼ね備えており、さらにファビーニョよりも力強く、機動力も上だ」と、31歳の日本人MFの優位点を指摘。最後に「遠藤はウェンブリーで、チームの原動力としての活躍を見せた後、リバプールのエンジンルームを自分のものとした」と綴り、記事を締めた。

続いて、現在はコメンテーターを務めるリバプールOBで、1970~80年代のクラブの黄金時代創成にも貢献したDFのフィル・トンプソンも、「負傷に直面しながらも、遠藤の冷静さと決意が光り、クロップ監督のチームにとって不可欠な選手となった」と語り、背番号3の多才さと影響力、貢献ぶりを強調している。

「遠藤の目立ったパフォーマンスは、彼の才能、コミットメント、そしてクロップ監督のチームにおける重要性を明確に示している。さらに、リバプールがさらなるトロフィーを目指す中で、遠藤の持続的な貢献は、チームの成功を前進させるために不可欠だ」
「遠藤のリバプールでの歩みは、クラブの戦略的計画とクレバーな補強を示している。約1600万ポンドという控えめな移籍金は、チームへの彼の莫大な価値を裏付けている。さらに彼は、期待を上回るだけでなく、クロップ監督の熱意とチームワークの精神を体現し、不屈の野心とチームワークを具現化している」

大きく評価を高め、一躍リバプールにとって不可欠な存在とみなされるようになっただけに、試合後には松葉杖をつき、左足に保護ブーツを履いてスタジアムを後にした遠藤の、足首の負傷の具合が心配されている。日刊紙『The Times』は、彼がミックスゾーンで「大丈夫」と語ったものの、28日のFAカップ5回戦のサウサンプトン戦は欠場するだろうと報じているが、彼自身は翌日の練習にも参加したことが明らかになっている。「鉄人」の次なる試合がいつになるか、注目される。

構成●THE DIGEST編集部

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