「どの国も理由は同じ」パリ五輪出場を熱望する北朝鮮、指揮官は3000名集まる同胞に感謝「ホームでやるように感じる」

日本との対戦に意気込む北朝鮮女子代表のリ・ユイル監督[写真:©超ワールドサッカー]

北朝鮮女子代表のリ・ユイル監督が、なでしこジャパンとの決戦を前に意気込みを語った。
【写真】空港で来日した北朝鮮女子代表を歓迎する大応援団

パリ・オリンピックを目指すアジア予選を戦う北朝鮮。2次予選から参加すると、グループBに入り、韓国、中国、タイと強豪揃いの難しいグループに入った。

その中で、中国との初戦で勝利し、2戦目は韓国とドロー。3戦目はタイに圧勝し、なんとかグループ首位で最終予選進出を決めていた。

その最終予選でなでしこジャパンと対戦する中、24日のホームゲームは中立地でのサウジアラビアでの開催に急遽変更。ブロックを引き、ロングボールで押し込みながらも、0-0のゴールレスドローに終わった。

日本での第2戦に向けて、前日会見に出席したリ・ユイル監督は「試合の重要性に関しては、私も含めてこれ以上言うことはない。選手たちも私自身も十分承知している」とコメント。「明日は同胞の皆さんがたくさん駆けつけてくれると聞いている。ベストを尽くして良い結果を出したいと思う」と、勝利を目指すと意気込みを語った。

負けられない理由を問われると、「理由はどの国も同じだと思う」と北朝鮮だから特別なことはないとし、「日本代表、北朝鮮代表共に胸に国旗をつけてプレーする。国を代表して戦うと言うことで、国の名誉のためにもパリ五輪に出場して、自分たちの能力を十分に発揮したい気持ちは同じだ」と、目指す気持ちはどこも同じだろうとした。

また「サッカーをやっている者として、朝鮮のサッカーの発展のためにも、大きな舞台に立つことによって、多くの国々と競い合い、たくさんの経験を積むことによって、朝鮮のサッカーの未来にとっても非常に重要な経験ができることになると思う。どの国も理由は同じだと思う」と、自国のサッカーの発展のためにも、出場権を獲得することが大事だとした。

そんな北朝鮮を応援するサポーターは3000人がスタジアムに駆けつけるとのこと。その応援については「非常に簡単な質問だ。サッカーをする上でのパワーの原動力は国のために戦うということで、国を輝かせたいという気持ちが強い。選手としては、家族や両親、兄弟、親戚、友人たちなど多くの人たちが期待してくれている。その期待に応えたいという気持ちが強いと思う」と語り、「自分たちが頑張ることによって、女子サッカーの発展に少しでも貢献できるのではないか。そうしたことが、パワーの源になっていると思う。明日の同胞たちの応援だが、誰でも自分を支持して応援しれくれる人たちがいるからこそ、支えられていると感じる。大きな応援は、大きな力になると思う」と、後押しを受けることで力になると感謝した。

また、来日時にも空港で200名程度の応援団が出迎えることに。初めて来日したが、ホームに感じると監督は語った。

「空港に到着した時に、私もそうだが、選手たちも若い選手が多いので、日本に来ることが初めてだ。来たこともない異国と言うことで不安な気持ちもあったが、同胞たちが熱烈な歓迎をしてくれた。本当に嬉しかった」

「明日は3000名にも上る応援団が競技場に来てくれると聞いているので、チーム一同がアウェイではなくホームでやるような、自分の家に帰ってきたような温かい気持ちになると思う。応援に応えるためにもベストを尽くして良い結果を残したいと思う」

なでしこジャパンにとっては、非常に厄介な話。その中で監督自身が警戒するのは、MF長谷川唯(マンチェスター・シティ)だという。

「日本代表は、素晴らしい選手が集まっている。ヨーロッパなど世界の舞台で活躍している素晴らしい選手たちがいる。その中でも、長谷川選手の能力が高いと感じている。プロとして素晴らしい能力を持っていると感じている」

初戦はドロー。守備的に戦った北朝鮮だったが「我々自身もジッダの試合が終わった後に分析したが、我々も攻守にわたって足りない部分、ミスを犯していた部分を見つけている」と語り、「しっかりと修正して、最大限明日の試合ではジッダでのミスをした部分を埋め合わせ、全力を発揮したい」と、決戦へ修正するとした。

ここに至るまでの準備についても、「昨年11月に我々が所属したグループはとてもハードな組だった。選手たちがベストを尽くして、この場に来る資格を獲得した」と、アジア2次予選を振り返り、「相手として非常に素晴らしいチームである日本と対戦することになるが、これまでのトレーニングでは長所を伸ばし、短所は補正するというトレーニングをやってきた」と、日本との戦いに向けて調整をしたとのことだ。

場所についても「平壌はとても寒い地であり、トレーニングをする上で気がかりな点があったため、中国の温暖な地域で25日間ほど合宿を行っていた。選手たちはチームの完成度を高めるための強度の高いトレーニングをしてきた」と、中国でしっかりと調整をした上での試合だったとし、最後に切符を掴み取る意欲を示している。

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