「ラ・マシア出身ながらバルサ以外でブレイク」の代表例として久保建英にバルセロナ地元紙が再注目! ソシエダで充実の22歳、今夏は争奪戦勃発か!?

2022年にレアル・ソシエダに加入して以降、攻撃の要としてその存在感を示し続けている久保建英。2019年にレアル・マドリー入りしてから、マジョルカ、ビジャレアル、ヘタフェ、再びマジョルカと渡り歩いた時期には、レンタルゆえの苦しみを味わったものの、自身の力を存分に発揮できる“安住の地”を見つけたことで、その価値は飛躍的に上昇中だ。

ラ・リーガでも屈指の存在のひとりとなっている22歳だが、そのルーツは、2011年に入団したバルセロナの下部組織「ラ・マシア」にある。アンドレス・イニエスタやリオネル・メッシらサッカーの歴史を変えるほどの偉人たちを数多く輩出したユースチームにおいて、久保は各大会で得点王やMVPに輝くなど順調に育っていたが、14歳のとき、クラブがFIFAから18歳未満外国人獲得・登録違反の制裁措置を受けた影響で公式戦出場停止となってしまったため、2015年に退団、帰国を決意した。

もしこの違反がなく、順調に昇格を重ねてトップチームにデビューを飾っていたら、いったいどのようなキャリアを築いていただろう…という興味も湧くが、22歳にしてすでに7つのクラブ(プレー歴のないマドリーも含む)を渡り歩き、貴重な経験を積み、現在はソシエダで絶対的なポジションを確立してさらなるステップアップも見込まれているのだから、なんら悔やむべきところはない。
しかし、バルセロナのスポーツ紙『MUNDO DEPORTIVO』には、まだ久保への未練が残っているのかもしれない。記事の中で、ラ・マシア出身選手(現役)の最新の市場価格「ベスト10」を発表。そして、その中にバルサ所属の選手が3人しかいないことを嘆いている。ランキングは以下の通りだ。

1位:ガビ(バルサ) 9000万ユーロ(約147億円)
2位:シャビ・シモンズ(RBライプツィヒ※) 7000万ユーロ(約114億円)
3位:ラミン・ヤマル(バルサ) 6000万ユーロ(約98億円)
3位:久保建英(ソシエダ)
5位:アレハンドロ・バルデ(バルサ) 5000万ユーロ(約82億円)
5位:ダニ・オルモ(ライプツィヒ)
7位:アンドレ・オナナ(マンチェスター・U) 4000万ユーロ(約65億円)
8位:リオネル・メッシ(インテル・マイアミ) 3500万ユーロ(約57億円)
8位:アレハンドロ・グリマルド(レバークーゼン)
10位:アンス・ファティ(ブライトン※) 3000万ユーロ(約49億円)
※X・シモンズはパリ・サンジェルマンから、ファティはバルサからレンタル移籍中。 同メディアは、「バルサは若手の才能が次々と現われるクラブであることが明らかになっているが、クラブ内での激しい競争が、過去数年間にわたって数多くの有望な選手が他のクラブでキャリアを築かなければならない状況を引き起こした」と綴り、久保らについても言及した。

「ベンフィカから昨夏にレバークーゼンへ移籍し、現在では欧州で最高の左SBのひとりとなったグリマルドや、今やソシエダのシンボルのひとりである久保らは、バルサ出身の選手たちが他のクラブで輝きを放ち、その価値を急上昇させている代表的なケースであることを示している」

育成の成果がバルサに還元されずにいるケースとして挙げられた久保。ライバルのマドリーでは挑戦の機会を与えられることなく650万ユーロ(約11億円)の移籍金を残してソシエダに新天地を求め、ここでキャリア最高のパフォーマンスを発揮すると、「チュリウルディン(ソシエダの愛称)」の一員であることへの満足感を再三強調し、今月12日には2029年までの契約延長に同意。「ラ・レアルでタイトルを獲得したい」とクラブ愛とタイトルへの渇望を示している。
しかし、設定されている契約解除金6000万ユーロは、財力のあるプレミアリーグのクラブから見ると、久保の魅力を考えれば格安であるようで、しばしば彼の去就にまつわるニュースが各国メディアから報じられている。実際、サッカー専門メディア『TEAMtalk』が、「アーセナルがリバプールのターゲットでもある『日本のメッシ』の獲得レースに参戦し、さらにニューカッスルも興味を示している」と伝えている。

「両クラブは今季、久保のエキサイティングなプレーに感銘を受けており、彼の獲得が素晴らしい補強になると感じている。ミケル・アルテタ(アーセナル)とエディ・ハウ(ニューカッスル)の両監督も、ゴーサインを出したようだ。冬の移籍市場では非常に静かだった両クラブだが、今夏には状況が変わることが予想されており、魅力的な条件でのオファーでソシエダを攻撃するだろう」

現時点でこの補強が成功する可能性は低そうだが、久保が残りのシーズンでさらなる活躍を見せ、よりプレミア勢の関心が高まれば、彼らの札束攻勢に対してソシエダがいかなる反応を示すのかも興味深いところだ。背番号14のピッチ上でのパフォーマンスと、移籍市場での動向を、ともに注視し続ける必要がある。

構成●THE DIGEST編集部

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