強盗殺人の背景にホスト遊びか 容疑の女、遊興費で借金

滋賀県警近江八幡署

 近江八幡市の琵琶湖岸で愛知県の男性の遺体が見つかった事件で、強盗殺人などの疑いで再逮捕された同県北名古屋市の風俗店店員市橋由衣容疑者(27)が事件発生時間の直前、借金の窮状を訴える切迫した内容のLINE(ライン)メッセージを知人へ送っていたことが、28日分かった。滋賀県警捜査本部(近江八幡署)によると、市橋容疑者はホストクラブの遊興費を得るため複数人に借金をしていたという。捜査本部はホスト遊びや経済的困窮が動機になった可能性があるとみて捜査している。

 京都新聞社の取材に、名古屋市内の風俗店で約5年前に市橋容疑者と知り合ったという男性が応じた。男性によると、2022年夏ごろ、市橋容疑者から急に「(風俗店の)スカウトから金を借りている。どうしても返さないといけない」という趣旨のLINEが届いた。200万円を貸したが、4カ月ほどで月々の返済が途絶えた。催促すると昨年10月、「借金の利息で余裕がない」と返信があり、公正証書も作成して追加で貸したものの返済金の振り込みはなかった。

 今年1月7日に「150万円貸してほしい」と再び無心があり、男性は「(スカウトに)脅されているのなら警察に行こう」と伝えたが「警察は何もしてくれない」と返信があった。

 被害者が殺害されたとされる時間の6~7時間前の1月15日正午過ぎには、「返したいから助けて欲しい」「助けてくれんと本当になんも返済できんくなる」と切迫した文言で追加の借用を求めるメッセージが男性に届いた、という。

 名古屋市内の風俗店関係者の話では、市橋容疑者は勤務先の風俗店で、ホストクラブに行っていると自ら話し、そのことは他の店員にも知られていた。「(デートの見返りに金銭を受け取る)『パパ活』をしようかな」などと発言することもあった、という。

 市橋容疑者の逮捕容疑は愛知県豊川市の会社員加藤徹容疑者(45)と共謀して1月15日午後6時半ごろ、同県あま市の不動産業丹羽正美さん=当時(55)=宅に侵入して金品を物色、同6時45分ごろ帰宅した丹羽さんの首を絞めて殺害してキャッシュカードなどを奪い、近江八幡市の琵琶湖に遺体を遺棄した疑い。

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