ウズラの卵で死亡事故 「当たり前のように献立に入れていた 替えがない」給食現場は困惑…食べ方指導など試行錯誤 

福岡県の小学生が給食を喉に詰まらせて、死亡した事故を受け、静岡県内でも対応が進んでいます。どうしたら、安全においしく給食が食べられるのか。教育現場では食べ方の指導など試行錯誤が続けられています。

【写真を見る】ウズラの卵で死亡事故 「当たり前のように献立に入れていた 替えがない」給食現場は困惑…食べ方指導など試行錯誤

小学校生活の楽しみの一つ、お昼の給食。

<浜松市立西小学校 片岡玖実教諭>
「きょうはシシャモもあるし、よく噛んで自分の口の大きさに合った大きさに切って食べるようにしてください」

給食を口にする前に、クラス担任の教諭が2年生の児童に呼びかけたのは、食べる際の注意事項です。

<浜松市立西小学校 織部由美栄養教諭>
「食べるときにはふざけない」

給食の献立を考える栄養教諭からも重ねての指導が。いつもより少し遅れで食べ始めることになりました。

<給食を食べた児童>
「おいしい」
Q給食を食べるときにどんなことに注意して食べますか?
「よく噛んで食べている」

<給食を食べた児童>
「余計なことを話さないでよく噛んで食べる。喉に詰まったり、噛むことに集中できなくなるから」

一緒に給食を食べながら、児童の様子を見守るクラス担任には、いつもより緊張感が漂っていました。

<浜松市立西小学校 片岡玖実教諭>
「自分もちょっと他人事じゃない。より心を引き締めていきたいなと思いました」

給食の様子がいつもと少し違うのは痛ましい死亡事故があったからです。2月26日、福岡県みやま市の小学校で、1年生の男子児童が給食を喉に詰まらせて、死亡しました。みやま市の教育委員会によりますと、詰まらせたのは「みそおでん」に入っていたウズラの卵とみられています。

ウズラの卵は栄養価が高く色んな料理に合わせやすい便利な食材です。その一方で、日本小児科学会は窒息を起こしやすい食品の一つだと指摘しています。

今回の死亡事故を受け、静岡県教育委員会は、文部科学省から届いた学校給食における窒息事故を防ぐための通知を各市・町の教育委員会や特別支援学校に28日、送りました。

では、実際にどうしたらいいのか。悩みが深くなっているのは給食の献立を考える栄養教諭です。

<浜松市立西小学校 織部由美栄養教諭>
「当たり前のようにウズラの卵は献立の中に入れていた。栄養をとるためには、必要な食材だと思っています。卵は代わりのものがなかなかないものですから」

西小学校では、月平均2回~3回ほどウズラの卵を食材として使っているそうです。
今後、ウズラの卵の扱い方について教育委員会と検討する方針ですが、窒息事故への対応としては食べ方の指導を徹底していくことが重要だとしています。

<浜松市立西小学校 織部由美栄養教諭>
「いろんなことが食べ物を通して教えられる。そういう面でも気を付けて食べる指導が大切なのかなと」

給食はバランスの良い栄養をとることに加えて食事のマナーを学んだりする「食育」の場です。児童が犠牲になる痛ましい事故を繰り返さずに、給食本来の役割を守っていくことが求められます。

© 静岡放送株式会社