鹿児島市のサッカースタジアム構想 本港区整備は「時間軸に課題」と下鶴市長 港湾計画見直し必須で

鹿児島市議会の代表質問で答弁する下鶴隆央市長=28日、市議会議場

 鹿児島市議会は28日、本会議を開き、にじとみどり、共産の2議員が代表質問した。下鶴隆央市長は多機能複合型サッカースタジアムの新たな候補地について、鹿児島港本港区での整備は港湾計画の見直しなどが必要になるとして「時間軸に課題がある」と述べた。早期整備を目指すため、本港区での整備は困難との認識をにじませた。

 候補地を巡って市は2019年、本港区のドルフィンポート跡地と住吉町15番街区、浜町バス車庫の3カ所を選定した。浜町は敷地を所有する民間事業者の要請を受けて除外。その後、残る2カ所も断念し、北ふ頭を表明した。地権者の県や利用する港湾事業者の理解は得られず、今年2月に断念、白紙に戻った。

 いずれの場所も港湾管理者の県による港湾計画など利用規制の見直しが必要で、県は港湾計画を見直すには「少なくとも10年かかる」とする。一方、仮にサッカーJ2・鹿児島ユナイテッドFCが24年にJ1昇格を決めた場合、遅くとも33年のシーズン開幕までにスタジアムを開設する必要がある。

 本会議で下鶴市長は、「塩田康一知事と時間軸を考慮する必要性を共有した」とし、「緊密に連携し、スピード感を持って県と一緒に候補地選定を進める」と強調した。また、建設費や運営費については、土地の広さや複合施設の規模で変動するとして「試算は困難」と主張。「民間の資金やノウハウを生かし、可能な限り財源確保に努める」と述べるにとどめた。

 このほか、市が国の通知を各施設に伝えなかったため、分園を持つ鹿児島市の保育所・認定こども園6カ所で運営費計7784万円の過払いが発生した問題で、市は、担当部署の管理職を厳重注意処分にしたと明らかにした。返還には今のところ5カ所が応じる意向で、1カ所が協議中。

〈別カット〉鹿児島市議会の代表質問=28日、市議会議場

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