馬毛島自衛隊基地整備 漁業補償は400人対象、上限3000万円 種子島漁協、22億円の配分決定

漁業補償配分案の採決に臨む種子島漁協の組合員=28日、西之表市

 鹿児島県西之表市馬毛島の自衛隊基地整備に伴う漁業補償約22億円を巡り、地元の種子島漁協は28日、同市のホテルで臨時総会を開き、上限3000万円などとする組合員への配分案を可決した。補償対象は正准組合員合わせて400人。漁協は全体の13.5%にあたる2億9783万円を受け取る。

 漁業補償は、馬毛島東岸で港湾施設や仮設桟橋の工事を進める防衛省が支出する。関係者によると総額22億683万円。内訳は漁業権の消滅に約5億5000万円、工事などでの漁業制限に約6億8000万円、漁場価値の減少に約9億7000万円とされる。漁協は昨年2月、漁業権の一部消滅や補償の受け入れに同意していた。

 組合員への配分は、正准それぞれに均等割りとして50~300万円が設定され、水揚げ実績や漁協への出資金、影響を受ける漁業種に応じて加算する。均等割りは住吉・西之表、国上、東海、中種子の4地区で異なる。馬毛島に漁業拠点があった住吉・西之表地区が最も高く、さらに漁業権優先補償として一律100万円を上乗せした。

 臨時総会では、代理や書面出席を含む正組合員102人が配分案の賛否を投票。1人は委任状を提出しており、賛成96、反対5で可決された。終了後、浦添孫三郎組合長は報道陣に「これまでいかに漁協に貢献したかで配分が決まっており、適切だと思っている。お互い譲り合って理解してくれた」と話した。

© 株式会社南日本新聞社