ドイツで暮らすウクライナ難民、なぜ「働く人」が少ないのか―独メディア

25日、独国際放送局ドイチェ・ヴェレの中国語版サイトは、ドイツに滞在するウクライナ人難民の就業率が低い理由について考察する記事を掲載した。資料写真。

2024年2月25日、独国際放送局ドイチェ・ヴェレの中国語版サイトは、ドイツに滞在するウクライナ人難民の就業率が低い理由について考察する記事を掲載した。

記事は、ザクセン州のクレッチマー知事が「ドイツが移民の国だと言うなら、ウクライナ人は労働市場に最も溶け込みやすいはずだ。しかし、彼らの20%しか働いていない。なぜなら、彼らは働く必要がないからだ」と語り、現地のウクライナ人難民がドイツ政府から手厚い保護を受けているために働く必要がないとの認識を示したことを紹介。別の議員からも「ウクライナ人はドイツでいい思いをしすぎている。ドイツ語を学びに行くよりソファで横になっていた方がいいに決まっている」との声が出たことを伝えた。

そして、ドイツではウクライナ人難民が政府から最低生活保障として単身者は月563ユーロ(約9万2000円)、夫婦は2人で1012ユーロ(約16万5000円)、子どもは年齢に応じて1人当たり月357~471ユーロ(約5万8000〜7万7000円)が支給されるほか、健康保険、住居費(家賃と暖房費を含む)、日用品や学用品の資金も国が負担すると説明。リントナー財務相が今年のウクライナ人難民向け給付金について60億ユーロ(約9800億円)に上るとの見込みを示したことを紹介した。

その上で、ドイツは欧州連合(EU)諸国の中で最も多くのウクライナ難民を受け入れており、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、24年2月中旬現在で欧州全域で受け入れられているウクライナ人難民約600万人のうち5分の1近い113万人がドイツにいると指摘。また、他の欧州諸国はドイツに比べてウクライナ人難民への保障が少なく、ポーランドでは最初の3カ月間だけ支給され、チェコでは6カ月目以降は月額130ユーロ(約2万1000円)相当の支援のみ提供される一方で、難民の約3分の2が職を得て就労していると伝えた。

記事は一方で、社会学者のトレンハルト氏がドイツにいるウクライナ人難民の就業率がわずか20%程度にとどまっている理由について「問題は必ずしも社会福祉にあるわけではない」とし、ドイツやオーストリア、スイスといったドイツ語圏の国々が雇用に多くの制限を設け、難民が就職市場に参入する障壁が高くなっていることを指摘したと紹介。同氏が「ドイツにおけるウクライナ人の雇用状況は憂慮すべきもの。これは労働力の浪費だけでなく、難民の社会への融合に影響する上、難民に対するネガティブなイメージが社会に植え付けられることにもつながる」との見解を示したことを伝えた。(翻訳・編集/川尻)

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