長崎市立病院機構 2023年度決算、赤字15億円の見込み 看護師不足で病床稼働率低迷

 長崎市は28日、新地町の長崎みなとメディカルセンターを運営する地方独立行政法人長崎市立病院機構の2023年度決算が約15億円の赤字となる見込みを明らかにした。看護師不足による病床稼働率の低迷が要因。この状態が続けば、24年度末には約4億円の債務超過となる見通し。
 定例市議会一般質問で平野剛議員(ながさきミライ)に島村昭太市民健康部長が答えた。
 市地域医療室によると、同機構は12年度、同センターの前身にあたる市立市民病院の運営を市から移行された。現地建て替えを経て、現在の同センターが16年度に開業。同年度末の債務超過は約26億円に上った。
 新型コロナウイルス感染症が拡大した20~23年度、コロナ関連の国補助金約93億円が交付され、債務超過は解消。県内で最も多く新型コロナの入院患者を受け入れたため、病床稼働率は8割前後で推移した。
 しかし、長引くコロナ禍を背景に看護師不足が慢性化し、より多くの入院患者の受け入れが困難に陥った。23年度の病床稼働率は約60%まで落ち込み、収支のバランスが悪化。24年度決算も約10億円の赤字が想定され、基金(22年度末約23億円)で赤字を補塡すれば、債務超過に陥る見通し。
 島村部長は答弁で「コスト縮減とともに収入増を図り、収支を均衡させたい」と述べた。

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