トルコの金融引き締めは不十分=MITのアセモグル教授

Ebru Tuncay Birsen Altayli Nevzat Devranoglu

[イスタンブール 28日 ロイター] - トルコ生まれで米マサチューセッツ工科大学(MIT)の著名な教授であるダロン・アセモグル氏はトルコの金融政策について、昨年の大胆な180度の方針転換にもかかわらず実質金利はマイナスの状態が続いており、引き締め度合いがディスインフレの達成には不十分だとの見方を示した。ロイターとの電話インタビューでの発言。

アセモグル氏はトルコ経済について「ものすごく楽観的というわけではない」と述べ、中銀のインフレ見通しは「非現実的だ」と切り捨てた。その上で「実質金利がいまだにマイナスなら、(金融引き締めは)十分ではない」と語った。

また、対処が必要な、より大きな構造的問題があるにもかかわらず、政府はこの10年間、こうした課題には取り組まず、金融や与信の刺激により総需要を喚起する政策を追い求めたと指摘した。ときにこうした政策が維持できなると利上げに追い込まれるものの、成果が出ないと再び利下げに動き、政策運用は「まったく持続不可能な状態になった」と批判。「ある程度の修正が必要だった」とした。

トルコ中銀は昨年6月、エルドアン大統領の下で続けてきた型破りな金融政策を転換し、政策金利を8.5%から45%へと引き上げた。しかし今年1月のインフレ率は65%で、実質金利はマイナス圏から抜け出していない。

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