【マ・ドンソク×青木崇高】『犯罪都市 NO WAY OUT』日韓俳優共演の現場裏インタビュー

『犯罪都市 NO WAY OUT』マ・ドンソク&青木崇高

我らが“マブリー”ことマ・ドンソク主演のメガヒット・アクション『犯罪都市』シリーズ第3弾となる最新作『犯罪都市 NO WAY OUT』が2月23日より日本公開中だ。

マ・ドンソクがプロモーションで初来日し、最新作で悪役を演じた韓国映画初出演の青木崇高とともにインタビューに答えてくれた。

國村隼の『哭声/コクソン』や、池内博之の『夜叉』など日本人の韓国映画出演に加え、三池崇史監督演出の日韓合作ドラマ『コネクト』や、日本のドラマ『Eye Love You』にチェ・ジョンヒョプが出演するなど日韓のコラボの形も多様化してきた昨今、人気シリーズで実現した日韓俳優の“ケミ”の裏側に迫る!

【全画像】『犯罪都市 NO WAY OUT』マブリーがいっぱい

―マ・ドンソクさんは青木崇高さんの作品をすべてご覧になったそうですが、現場での印象はいかがでしたか?

マ・ドンソク:まず、今回の作品で日本のキャラクターが出ることになった時、実際に日本人の俳優にやってほしいと思い、そんな中、青木崇高さんの出演作は『るろうに剣心』だけでなくいろんな映画を見ました。

私自身、マ・ドンソクというキャラクターをそのまま反映させたキャラクターを演じるのと、マ・ドンソクのイメージとは違うキャラクターを演じるという大きく分けて2種類あると思いますが、アクション映画の場合は自分自身が強く出るキャラクターのほうが多いと思います。

私はプロデューサーでもあるので、いろんな俳優たちの演技を見るわけですが、青木崇高さんに興味を持ちました。映画やドラマなど作品ごとに全く違う顔を見せていて幅の広い演技ができる、“本物”のようなリアルな演技ができる人だという印象を受けました。

それに、『犯罪都市』ではアクションをうまくこなせることが大事で、しかも難易度が高いアクションなので怪我も多い。

そんなアクションをこなせる俳優がいるだろうかと思っていたんですが、まさにぴったりな人でした。会ってみて第一印象からとてもよかったですし、人柄もよく、共演していてもとても楽しかったですね。

本当に楽しかったし、彼が演じたリキが画面に登場するたびにうれしく思いました。アクションシーンでは長い刀を振り回すんですが、凶暴ともいえるアクションを見せてくれたのでとても満足しています。

実生活でもとても親しくなって、少しでも不便なことがあったら全部解決してあげたいと思いましたし、200%の演技とアクションを見せてくれてとても感謝しています。

彼の演技を自慢したいので、ハリウッドのチームにも見せたんですが、みんな驚いていました。今ではハリウッドからもこんなアクションを作ってほしいという依頼がたくさん来ています。

『犯罪都市 NO WAY OUT』©ABO Entertainment presents a BIGPUNCH PICTURES & HONG FILM & B.A. ENTERTAINMENT production world sales by K-MOVIE ENTERTAINMENT

―現場でのマ・ドンソクさんはどうでしたか?

マ・ドンソク:本人の前だから全部いいっていうしかないんじゃない?(笑)

青木崇高:もちろん以前からいろんな作品を拝見して存じ上げていました。『犯罪都市』シリーズのヴィランとして出演できると聞いた時は、その場でマネジャーとハイタッチをして(笑)、嘘だろうっていう感じで“歓喜剥き出し”だったんですが、次の瞬間、これはアクションをきちんと見せなきゃいけないと同時に思いました。

それで『るろうに剣心』のアクション・チームと連絡をとりながらいろんなアクションを提案し、韓国のアクション・チームと擦り合わせながら作っていきました。

日本人の刀の使い方や今回の作品でのアクションのあり方、そういった違いも僕としては興味深かったです。

それに、世界を席巻する韓国のエンタメ業界の中で、1000万人の観客を超える作品が生まれる場所で、スタッフ・キャストの皆さんと一緒に2022年の夏を一緒に過ごせたことは、本当に感慨深いです。

韓国公開時に熱狂的な観客の反応を感じましたし、これは一過性のものにしたくないなと。今後も韓国の作品にもしっかり出ていきたいですし、ハリウッド、もちろん日本の作品もそうですが、しっかりやっていきたい。

そんな大きなきっかけをくれたのがこの『犯罪都市』シリーズだったと思います。

―マ・ドンソクさんは優しかったですか?

青木崇高:ものすごく優しいです。プロデューサーでもあるので、細かい気配りをしてくれました。僕自身も挑戦ではありましたが、マさんのおかげで変な緊張は一切なく、本当に200%集中して作品に向き合えたと思います。

『犯罪都市 NO WAY OUT』©ABO Entertainment presents a BIGPUNCH PICTURES & HONG FILM & B.A. ENTERTAINMENT production world sales

『アクション・フランチャイズを作るのが夢だった』(マ・ドンソク)『犯罪都市』シリーズ8まで企画進行中!

―悪役をキム・ムヨルさんが演じる『犯罪都市4』も発表されましたが、また次回、マ・ドンソクさんと共演するとしたらどんな配役がいいですか?

青木崇高:今回は敵同士でしたから、次は味方になって一緒に敵を退治していくようなアクションものとかやりたいですね。マさんの作品にはコメディもたくさんありますから、コメディもおもしろいかもしれません。

マ・ドンソク:それもいいし、また違ったスリラーものもよさそう。いつでも機会があったらまた共演したいですし、製作者として提案することもできるし、ぜひまたご一緒したいです。

私が映画を好きなのは、こうやって国境や言語は必要なく、みんなで力を合わせて共感しあいながら、ひとつのものを作り上げていけるからなんです。

『犯罪都市 NO WAY OUT』©ABO Entertainment presents a BIGPUNCH PICTURES & HONG FILM & B.A. ENTERTAINMENT production world sales by K-MOVIE ENTERTAINMENT

―シリーズ8まで計画されている『犯罪都市』ですが、このシリーズを通して叶えたいことはありますか?

マ・ドンソク:私自身、学校で演技を習って、演劇をやってというふうにこの業界に入ったのではなく、人生のほとんどを運動して過ごし、映画が好きで『ロッキー』を見てボクシングを始め、いつかは映画の仕事をしたいと思っていました。

もともとアクション・シリーズでフランチャイズを作るのが夢でした。演技する側になり、俳優というのは台本をもらう立場なのでオファーが来るまで待たなければならないんですが、自分がやりたい役をやれるわけではありません。

自分はエキストラから演技を始めたので、与えられる機会が大切ではありますが、やりたい役が来ないなら自分で作ってみようと思ったんです。それで自分でキャラクターを考え、映画業界でフランチャイズ化できるようなシリーズを作ろうと。

周囲の映画関係者からは難しいといわれ、マ・ドンソクが主人公では興行もうまくいかないだろうと反対の声も多かったですが、とにかくやり遂げたいと思いました。

当時は、今、このくらいの空間(ホテルの1室程度)の部屋に住んでいたんですが、その壁に『犯罪都市』の企画を8作目まで考えて貼って、毎日見ながら過ごしました。

今は『犯罪都市』がヒットしたので、当時よりは少し大きい家に住んでいますが(笑)。台本は8作目まで進めています。海外バージョンやスピンアウトも考えていて、グローバルな展開や過去のヴィラン再集結など、いろんな方向で企画しています。

“プロデューサー”マ・ドンソクが大事にしたこととは?

『犯罪都市 NO WAY OUT』©ABO Entertainment presents a BIGPUNCH PICTURES & HONG FILM & B.A. ENTERTAINMENT production world sales by K-MOVIE ENTERTAINMENT

―今回、日韓の俳優が共演するにあたって、特別に準備したことなどはありますか?

マ・ドンソク:映画の現場で俳優にとって一番大事なことは、演技がしやすい環境作りです。自分のやりたい演技を発揮できるように気を遣いました。

危険なアクションも多いので、怪我をしないためには、心と体の平穏が大事です。監督とも密にコミュニケーションをとりながら、青木崇高さんが気楽に演技をできるようにしました。

プロデューサーとしては当然のことですが、それ以前に個人的に私が崇高のことをとても好きなので、友達としてなんでもしてあげたいという気持ちがありました。

それにアクション・シーンが多いと体力的にも大変ですし、自分の家ではないところで撮影をしなければいけないわけです。

そのためにはしっかり食べることが大切で、牛肉をたくさんご馳走しました(笑)。彼が牛肉大好きなので。俳優が自分の演技をするためには気持ちが楽でなければならないんです。

韓国にはこういう言葉があります。“俳優の演技を邪魔する100通りのことがある”。例えば、悲しい大事なせりふをいう時に鶏が鳴いてしまったり、ヘリコプターが飛んできたり。俳優はそんなことをすべて乗り越えなければいけない。

いくら努力してもどうしようもない状況も出てきます。できるだけ、一緒に働く人々が楽しくなるように配慮しなければならないんです。

それが、私の現場では一番重要なことです。自分がいる現場はいつも楽しく撮影していますし、変な人もいないし、変なことをする人もいない。私は喧嘩が強いので(笑)。

『犯罪都市 NO WAY OUT』©ABO Entertainment presents a BIGPUNCH PICTURES & HONG FILM & B.A. ENTERTAINMENT production world sales by K-MOVIE ENTERTAINMENT

青木崇高:本当にいろいろとケアしてくださいましたね。アクションが多いということもあって、マッサージの手配もしてくださいましたし、ホテルもバスタブがあって体をちゃんとほぐせる快適なところを用意してくださいました。

食事も、僕は辛いものは大丈夫なんですが、あまり辛くない“リキ・メニュー”も用意してくれました。

焼肉が好きだっていったら、撮影の合間にもお店を予約してくれて。韓国公開時にも、チームで、家族みたいにいつもみんなで食事をするのが恒例でした。

あと、韓国で印象的だったのは、日本映画だと公開初日に舞台挨拶を1ヵ所か2ヵ所で3~40分というのが普通なんですが、韓国では上映前後に5分程度、とにかくスクリーンをたくさん回って、「楽しくご覧ください」「面白かったらいろんな人に伝えてくださいね」って挨拶して、動画も撮っていいですよっていう形式なんです。

それぞれのやり方はあると思いますが、出演者としてはたくさんの観客の熱気に直に触れることができ、作ったものがお届けできたという喜びにつながったので、とても貴重な経験でした。

あ、韓方薬もマさんからいただきました。チャル モゴッスムニダ!(ごちそうさまでした)

『犯罪都市 NO WAY OUT』

2月23日より新宿ピカデリー、グランドシネマサンシャイン 池袋ほか全国公開中

(韓流ぴあ/ 大森 美紀)

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