午前の日経平均は続落、利益確定 日銀審議委員の発言も影響

[東京 29日 ロイター] - 午前の東京株式市場で日経平均は、前営業日比254円54銭安の3万8953円49銭と続落した。前日の米株安が重しとなったほか、月末で利益確定売りが優勢となった。高田創・日銀審議委員の発言で為替が円高に振れたことも、輸出株などの売りにつながった。

日経平均は前営業日比272円安と軟調にスタート。これまで株高を主導してきた半導体関連などハイテク銘柄に売りが出て、指数を押し下げた。331円安の3万8876円81銭まで下落したが、下値を拾う動きもみられ、次第に下げ幅は縮小した。

取引時間中に伝わった日銀の高田審議委員の発言にも相場は反応した。高田氏は滋賀県内で講演し、経済の不確実性はあるものの「2%物価目標実現がようやく見通せる状況になってきた」と述べた。ドル/円が円高方向に振れ、自動車など輸出関連株が売られた。

T&Dアセットマネジメントのチーフ・ストラテジスト兼ファンドマネージャー・浪岡宏氏は、「高田審議委員の発言で為替相場で円高が進行したことが、前場後半にかけて相場の重しとなったようだ」とみていた。一方、「月末のリバランスの売りが出やすいタイミングではあるものの、売買代金はそこまで膨らんでおらず底堅さもみられる」と語った。

短期的には日柄調整が出やすい一方で、「トレンドとしては4万円に向けた流れは変わらないのではないか」(国内証券・ストラテジスト)との意見もあった。

TOPIXは0.62%安の2658.26ポイントで午前の取引を終了。東証プライム市場の売買代金は2兆3128億2300万円だった。東証33業種では、海運、小売、精密機器など4業種が値上がり。電気・ガス、鉄鋼、非鉄金属など29業種は値下がりした。

個別では、主力のトヨタ自動車、ソニーグループが軟調。朝方は売りが優勢だった東京エレクトロン、アドバンテストは小幅高。指数寄与度の大きいソフトバンクグループ、ファーストリテイリングは下落した。

プライム市場の騰落数は、値上がり465銘柄(28%)に対し、値下がりが1138銘柄(68%)、変わらずが53銘柄(3%)だった。

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