「弘南線(弘前-黒石)に集中すべき」弘南鉄道大鰐線廃止求める発言相次ぐ 青森・弘前市議会

 弘前市議会は28日、一般質問を行った。脱線事故やレール摩耗見落としによる長期運休で国の改善指示を受けた弘南鉄道を巡り、大鰐線(大鰐-中央弘前)を廃止して弘南線(弘前-黒石)の維持に経営資源を集中するべきだ、との議員発言が相次いだ。

 桜田宏市長は、2024年度中に行う大鰐線の存廃判断について「同社の改善状況を注視し、市民の声を平等に拾い上げた上で、市民の足がどうあるべきか沿線自治体などと協議を重ねたい」と答え、市民の意見を判断材料の一つとする考えを示した。

 木村隆洋議員(創和・公明)は、同社が4年余りで2度の脱線事故と3度の改善指示を受けたことを挙げ「安全管理体制が危機的状況だ。昨年の脱線は必然的に起きたのでは」と厳しく指摘。人手不足が問題の一因であるとして「大鰐線には財政支援せず、弘南線に集中すべきだ」と訴えた。

 竹内博之議員(弘前さくら未来)は「公共交通機関の責務を果たせるだけの体力や組織力があるのか。2路線両方は無理で、選択と集中が必要ではないか」と述べた。

 桜田市長は「市民の交通手段である公共交通をどうするのか、という問題だ。今あるものを生かすのか、代替手段があるのか。実現可能性も含めた深い議論が必要だ」と答えた。

 野村太郎議員(無所属)は「大鰐線を何とか守れないかとこれまで議論してきたが、裏切られた気分」と述べた。大鰐線の路線バス切り替えには運転手不足がネックになるとして、鉄道維持を前提に市が同社への関与を強めるよう求めた。

 桜田市長は取材に、市民4千人を対象に昨年行ったアンケートで「大鰐線が廃線になると高齢者の移動手段がなくなる」との回答が87%だったとし、廃線すると影響が大きいと強調。「引き続きさまざまな声を拾い上げ、住民の足の在り方を考えたい」と答えた。

 一般質問は6人が登壇した。

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