日本の民衆、東京電力の汚染水放出に懸念

日本の民衆、東京電力の汚染水放出に懸念

東京電力本社前で放射能汚染水の海洋放出に抗議する市民。(2023年8月24日撮影、東京=新華社記者/楊光)

 【新華社東京2月29日】東京電力は28日、福島第1原発放射能汚染水の4回目の海洋放出を開始した。日本の民衆は汚染水の長期的な放出による環境への影響を懸念しており、放射性物質を故意に拡散させる行為を野放しにしてはならないと声を上げている。

 今回は3月17日までに約7800トンの放出を計画している。これまでの3回を加えると放出は計3万1200トンになる。現地メディアによると、今回はこれまでと異なり、処理済みの汚染水を放出する前に大型タンクに保管し、トリチウムの濃度を測定するのではなく、海洋放出中に1日に1回のサンプルを採取して測定するという。

 東京電力は1月下旬、2024年度中に約5万4600トンの汚染水を7回に分けて海洋放出する計画を発表した。これらの汚染水には14兆ベクレルのトリチウムが含まれる。

 東京電力は長きにわたり、汚染水を多核種除去設備(ALPS)で処理し、希釈してから海洋放出すると公言してきた。このような処理を経ても、汚染水に含まれる放射性物質60種以上のうち、トリチウムだけは除去できない。しかし、東京電力は「トリチウムだけは除去できない」と強調せず、トリチウム以外の放射性物質は「安全基準を満たすまで浄化できる」と述べた。

日本の民衆、東京電力の汚染水放出に懸念

東京の首相官邸前で緊急集会を開き、民意を無視して放射能汚染水の海洋放出を決めた政府に抗議する人たち。(2023年8月22日撮影、東京=新華社記者/馮武勇)

 日本の漁業関係者や民衆は汚染水の海洋放出に一貫して反対してきた。反核団体のメンバー、木村雅英さんはメール取材に応じ、福島第1原発では2月7日、浄化装置からの汚染水漏えい事故が発生し、昨年10月に作業員2人が放射性物質を含む廃液を浴びて被ばくし、一時入院したと指摘。これらの事故は東電の汚染水の扱いがずさんであることの証拠であり、海洋放出をやめるべきだと述べた。

 福島県いわき市に住む織田千代さんは、放射性物質の拡散を意図的に人間が進めるという意味で、汚染水の海洋放出は許されないとし、地元の漁業関係者からも怒りの声が上がっていると指摘した。

 原水爆禁止日本国民会議などの市民団体が立ち上げた「ミライノウミプロジェクト」も今年初め、汚染水の海洋放出を直ちにやめるよう呼びかける署名活動をスタートさせた。メンバーの一人、井上年弘さんは電話取材に応じ、東京電力は廃炉を完了させる51年まで汚染水の放出を続けると表明したが、廃炉作業の予定がずれ込んでいけば、放出終了は道筋が見えなくなってくると指摘。50年も100年も放出が続く恐れがあると警鐘を鳴らした。

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