SHINeeが導く、光り輝く未来 日本のファンへの大感謝祭のような6年ぶり東京ドーム公演

SHINeeが約6年ぶりとなる東京ドーム公演『SHINee WORLD VI [PERFECT ILLUMINATION] JAPAN FINAL LIVE in TOKYO DOME』2Daysを開催した。昨年の同タイトルアリーナツアーとはガラリと替えた日本オリジナル曲をふんだんに取り入れた驚きのセットリストは、まるで日本デビューからの13年間、彼らのそばに寄り添い続けてくれた日本のファンへの大感謝祭のようだった。ステージの上にいたのはKEY、MINHO、TAEMINの3人だったが、今回不在のONEWとJONGHYUNの歌声も響いた東京ドームには、確かに5人の“5HINee”が感じられた。涙と感動、そして温かさに包まれた2月25日、最終日の模様をレポートする。

同公演は、昨年9月よりスタートしたアリーナツアー『SHINee WORLD VI [PERFECT ILLUMINATION]』の集大成となる位置づけ。昨年9月30日のさいたまスーパーアリーナから11月29日の代々木体育館まで、アリーナ4カ所8公演が行われた。日本ツアーでは、韓国公演のセットリストをベースに、数曲を日本オリジナル曲に替えた構成だったが、ファイナルとなる東京ドーム公演は、このアリーナツアーとは別モノといえるほどバージョンアップされていた。昨年11月に日本アリーナツアーを一旦終えた後、SHINeeとしては年末の授賞式に多数出席し、また3人各人がソロ活動とソロコンサート、さらにMINHOは新作ドラマ撮影まで行っていたというのに、まったく新しいライブを作るのと同じ熱量で東京ドーム2Daysに臨んでくれたのだ。

まずはオープニング映像で、すでにファンは涙腺崩壊。「Sherlock」に合わせたアニメーションが流れると、そこには5人のSHINeeが踊っていたのだ。そこからの登場シーンも、バージョンアップ。アリーナツアーでは宇宙船に乗って上空から現れたSHINeeだったが、東京ドームでは宇宙船の巨大な扉が開き、光り輝く中から現れた。KEY、MINHO、TAEMINが力強く「SHINee is Back!」と叫ぶと「Sherlock」がスタート。アリーナツアーのセットリストに入っていなかった彼らの代表曲での始まりに、会場からは驚きの声が上がる。しかも普段とは違う「Clue」がミックスされたバージョンな上に、JONGHYUNのパートをTAEMINが見事に歌いこなしたブリッジの後から日本語バージョンに替わるという予測不能な展開に、会場は熱狂に包まれた。

驚きはオープニングだけに留まらず、そこから「Picasso」、「Stranger」、「君のせいで」、「Get The Treasure」と懐かしすぎる日本のオリジナル曲が怒涛のように続き、あまりに予想できないセットリストにファンは1曲ごとにイントロドン状態。「Dream Girl」までの激しいダンス曲6曲を5万人の大コールと一体になって、ノンストップで走り抜けた。

最初のMCでMINHOは大きな声で「東京ドーム! ただいまー! みんな、いらっシャイニー!」と叫ぶと、ファンも大きな声で「おかえりー!」と返す。KEYが「2018年7月のファンミーティング以来の東京ドーム。オープニング曲からドームに合わせて、ステージ、音楽、ダンスを替えてみました」と説明。TAEMINは「『Stranger』は昔のツアーのオープニングの曲。思い出して胸がいっぱいになりました」と言うと、KEYが「『picaso』も“懐かし~”ってなったけど、振付を90%忘れてた」と言えばMINHOが「僕は99%」と笑い、懐かしい話に花が咲いた。

中盤は、韓国最新アルバム『HARD』をフィーチャーしたセクション。アリーナツアーではアンコールに置かれていたこの曲が、本編に。しかも、ロックバージョンに変身。「Body Rhythm」でMINHOが上着を脱ぎ見事に割れた腹筋を見せると、「キャー!」という悲鳴が上がったとおり、「Body Rhythm」はもはやMINHOのための曲だといっても過言ではないだろう。

「Everybody」からは、この東京ドーム公演のハイライト。「Everybody」ではもはや恒例、MINHOが天にいるJONGHYUNのゼンマイを巻いた後に、投げキスのサービスまで。いつまでも5人を感じさせてくれる。この曲を韓国語バージョンで披露したのにも驚いたが、続く「Lucifer」までも韓国語バージョンだったのには、「やられた!」と思わされた。ドーム初日のMCでKEYが「みんなが何を予想しているか、ちゃんとわかっている」と言っていたが、その予想を察知して上手く裏切ってくれるのは、さすが。トロッコに乗ってアリーナフロアで歌った「Downtown Baby」では、ファンとのコールアンドレスポンスが炸裂。そしてこのセクションを日替わり曲「Dazzling Girl」で締めた。

転換のVCRも、オープニング同様にシルエットの5人のSHINeeが歌い踊る「1 of 1」。これはアリーナツアーと同じものだが、〈欲しいのは キミと生きる世界〉〈出逢えたこの奇跡〉と歌うこの曲の選曲も素晴らしい。

後半はデビュー曲「Replay」からしっとりと始まったが、ここからはまた、懐かしの日本オリジナル曲……しかもバラード曲を固めてきた。ムービングステージや可動するバックステージで、スタンド席の近くに。SHINeeの日本のバラード曲は、本当にいい曲が多い。本編最後の「LOVE」では、スタンド席に無線コントロールのペンライトで大きな「LOVE」の文字が浮かび上がると、それを見たKEYがぽろぽろと涙を流した。

アンコールを待つ間には、ファンが全員で「君がいる世界」を大合唱。これは、代々木公演でTAEMINがファンにお願いしたものだ。その歌声に導かれて3人は、大型のフロートに乗って登場。サイン入りフリスビーを客席に投げ込みながら「Super Star」から楽しい3曲を続けたが、コロナ禍の最中にリリースした「SUPERSTAR」は、この東京ドームがファンの前での初生パフォーマンスとなった。バックステージのリフターで高所から届けたバラード曲「Colors of the season」では、ペンライトが会場をグリーン、ブルー、ピンク、赤、イエローの5人のメンバーカラーに次々と染め上げた。そして最後の「1000年、ずっとそばにいて・・・」ではファンが一斉に色のついた用紙を掲げると、東京ドームの客席に大きな「SHAWOL ❤ SHINee」の文字が出現。SHAWOLとは、彼らのファンダム名だ。そのサプライズを見て、普段泣かないMINHOが目を押さえるほどボロボロと大粒の涙をこぼすと、KEYの目にも再び涙が光った。

東京ドームでの公演は、メンバーの入隊やコロナ禍もあり、実に6年ぶり。しかも、メインボーカル2人を欠いた3人での公演だ。いつも泣かないTAEMINとMINHO。初日に泣いたが、「泣いていない」と言い張っていたTAEMINが「いつの間にが、MINHOさんがファンの皆さんの前で泣くことができるようになりましたよね」と言っていたが、MINHOは「(ドーム公演が)心配でしたけれど、皆さんを見ると(不安が)なくなります。SHINeeは今からスタートです! 永遠に応援よろしくお願いします!」と心情を打ち明ける。KEYは、「昔の音楽を聴きながら、いつか“懐かしい”なんて言いながら歌ったり踊ったりできる日が来るのかなと思ったこともありました。そんな瞬間を楽しみにしていたのですが、今日、美しい事実になって嬉しいです。次のライブでも、昨日会ったみたいに自然な雰囲気で会いましょう!」と、止まっていた時間が再び動き出した感動を伝えてくれた。

KEYの言うように、思い出の東京ドームで懐かしい曲をたくさん歌ってくれたSHINeeだが、5人時代の曲もリレコーディングせずにJONGHYUNの歌声も残してくれていたのが心に残った。今回欠席となった、ONEWの声もそう。JONGHYUNやONEWのパートを歌うTAEMINやMINHOの歌声と一緒に、この場にはいないメンバーの声も聞こえる。こうやってSHINeeは、今でも5人で活動を続けているという強い意思を感じさせてくれた。

いつもMINHOがライブの最後に「皆さんが、僕の希望です」と言ってくれるのだが、この日は、「皆さんが、僕の希望と愛です!」とスペシャルなバージョンに。そして、オープニングに登場した宇宙船に乗って去る時にKEYが「SHINee、いってきまーす!」と大きな声で叫んだ。“いってきます”は、“どこかに行っても再び帰ってくる”という意味を持つ言葉だ。「いってきます!」と吸い込まれていったまぶしい光の向こうには、きっとSHINeeとそれを見守るファンとの輝く未来が待っているはずだ。

(文=坂本ゆかり)

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