なでしこジャパン、開催地未定に怪我人続出も...パリ五輪出場権を獲得。困難を乗り越え、より強い“チーム”に

なでしこジャパンは2月28日、国立競技場で北朝鮮を2-1で撃破。2大会連続の五輪出場を決めた。

振り返ってみると、今回の2連戦は活動開始直後からトラブルに巻き込まれた。アウェーでの第1戦は当初、平壌の金日成競技場で開催される予定だったが、協議を運営するうえでの不透明な要素が多いため、中立地開催に変更に。

しかし、なかなかその開催地が決まらず、結局、サウジアラビアのジッタで行なわれると正式に発表されたのは、試合3日前の21日。それまで、どこで試合が行なわれるのか不明という異例の事態に、選手、監督、スタッフは長い時間、頭を悩まされていた。

また今回の活動では、チームの主力である遠藤純、宮澤ひなた、猶本光が怪我により不在に。負傷者続出の状況でパリ五輪の出場権がかかる重要な連戦が始まった。

【PHOTO】重要な一戦に勝利しパリ五輪行きの切符を掴む!笑顔溢れるなでしこジャパンを厳選してお届け!
そんななかで、1戦目は5バックを敷く相手の守備に苦戦し、なかなかチャンスを作り切れない課題が露呈したものの、無失点で切り抜け、0-0で決着。そしてホーム国立競技場で行なわれた第2戦では、先発メンバーを2名変更し、1年半ぶりの代表復帰を果たした上野真実と2017年以来の先発となった北川ひかるがスタメンに抜擢された。

この試合で上野が遠い位置から果敢にシュートを狙うなど、積極性を見せれば、北川は左サイドを果敢に突破し、精度の高いクロスから好機を創出。ともに上々のパフォーマンスを披露した。

長谷川唯も北川に対し、「前半から仕掛けて、日本の攻撃のチャンスを作る起点となっていた。左足の精度の良いクロスだったり、縦の突破も含めて、本当に色んな特徴があって、これからもっと新しい力を出してくれるんじゃないかと思わせてくれた」と賛辞を送っていた。

開催地問題にはチーム全体の強い精神力で、怪我人続出には代表に久しぶりに復帰した頼もしい選手の活躍で。困難な状況を乗り越え、大舞台への切符を手にしたなでしこジャパンは、より強いチームになったはずだ。

取材・文●手塚集斗(サッカーダイジェストWeb編集部)

© 日本スポーツ企画出版社