福島市で開かれた、特別なコンサート。招待された観客はたったひとり。100歳を迎えた、歌が大好きな母親のためだけのコンサートです。
客席の中央で美しい音色に耳を傾ける女性。福島市に住む齋藤歌子(うたこ)さんです。
27日、福島市のホールを貸し切って行われたコンサートは、2月3日に100歳の誕生日を迎えた歌子さんのためだけに、息子の悟さんが開きました。
齋藤悟さん「私のために自分の人生をかけてくれたという思いが一番強いから、できる限りの恩返しはしたいと思って」
悟さんは、長年関東で働いていましたが、23年前に、父・新さんが亡くなってから、母親に寂しい思いをさせたくないと福島に戻ってきました。そして、コロナ禍をきっかけに、介護施設で暮らす歌子さんに喜んでもらえる100歳のお祝いを考え始めました。
悟さん「よし。外に出して本物のコンサートを見せてやろうと。コロナで施設の中に入れなくなって会えなくなって、辛い思いをしたことによってもがき苦しんで、そういうアイデアが出てきたんです」
最後の歌は、思い出の…
昔はカラオケが趣味だったという歌子さん。そこで、東京からプロのソプラノ歌手とピアニストを招き、クラシックや歌謡曲などを演奏してもらいました。そして、最後に披露されたのは…。
ソプラノ歌手「雨さんさんと~」
歌子さんが大好きな美空ひばりさんの名曲「愛燦々」。悟さんが中学生の頃にコンサートのチケットをプレゼントした、思い出の曲です。家族や友人たちに囲まれた歌子さんは、ホールに響き渡る柔らかい音色に、目に涙を浮かべながら聞き入っていました。
悟さん「全部頭に入っていて感動しているんだなというのが、なかなか身体には表せなくても、表情や目を見ていて分かりました。ひばりさんの歌聴けてよかったね。100歳おめでとう」