PK戦敗退も…国王杯における久保建英を「リズムのないソシエダに活気を与えた」と現地メディア。前半は厳しいマークで「絶望を味わった」とも

現地時間2月27日に行なわれたコパ・デル・レイ準決勝のセカンドレグ、レアル・ソシエダとマジョルカの一戦は1-1のまま延長戦でも決着がつかず、PK戦を後者が5-4で制し、初優勝した2003年以来3度目の決勝進出を果たした。

2020年以来4度目の同カップ制覇に向けて通算7度目のファイナリストを目指したソシエダは、前半終了間際にブライス・メンデスのPK失敗で先制のチャンスを逃し、逆に50分にはゴールを許したが、71分に交代出場のミケル・オジャルサバルが起死回生の同点弾。ホームスタジアムは大いに盛り上がったものの、勝ち越しはならず。先攻のPK戦では1番手オジャルサバルのシュートが相手GKに止められ、以降は両チーム全員が成功という形で勝敗が決した。

久保建英は今回もスタメンに名を連ね、攻撃の中心としてパスやクロスでチャンスを創出、チームのPK奪取や得点の場面でもプレーに絡んだが、104分にウマル・サディクとの交代を命じられ、ベンチから古巣相手にチームが敗退を喫するのを見守ることを余儀なくされている。
そのプレーに対する現地メディアの評価では、マドリードのスポーツ紙『MARCA』が3点満点の採点で「2」を与え、「ラ・レアルの攻撃をリードした」と記述。一方『AS』紙は、採点こそ「1」止まりとしたが、「ハビ・ガランの展開と久保のドリブルは、リズムのないチームに少し活気を与えた」とポジティブに評し、同点とした場面では「久保のハイパーアクティブなプレー」が起点になったと伝え、後半は「久保とシェラルド・ベッカーが目立ち、最終局面では際立っていた」と称賛した。

しかし、「久保がよりアクティブになった中でホームチームは激しく攻めたが、マジョルカは守備が強固だった」とも綴り、また前半の彼については「久保は絶望している。なぜなら、彼がボールを受けるたびに、マジョルカはアントニオ・ライージョかホセ・コペテが襲い掛かり、彼に息をする余裕すら与えなかったからだ」と、徹底マークに苦しんだことも紹介している。

また同メディアは、個別評価では「マーカーであるコペテは久保を掴んでイエローカードを提示された。一方、久保は1対1で相手を打ち負かそうとしたが、あまり上手くいかなかった。最後の数分間は積極性を示したが、攻撃プレーには深みが足りなかった」と、全体的にネガティブに評した。 続いてバルセロナのスポーツ紙『MUNDO DEPORTIVO』は、ライブ実況の記事で「試合開始から5分で、久保はすでに両サイドに姿を見せている。右から左へと目まぐるしく動く日本人選手は、ハビエル・アギーレ監督率いるチームの守備にとっては頭痛の種になるだろう」と報じていたが、試合後はそのプレーを「騒々しい」と表現し、以下のように綴っている。

「前の試合(4日前のラ・リーガ第26節ビジャレアル戦)と同様に、多くのボールポゼッション、チャンスメイク、クロスを披露したが、それらがチームの得点に結びつくことはなかった。最後に負傷」

ラジオ局『Cadena SER』は、同点ゴールの場面を「ソシエダは、ブライス、久保、キャプテンのオジャルサバルによる一瞬の閃きで、試合を引き分けに持ち込み、アノエタ(レアレ・アレナ)を興奮させるために最高のプレーを繰り広げた」と、極めてハイレベルな連係プレーだったことを強調した。
地元バスクの日刊紙『noticias de Gipuzkoa』も、「右サイドでのスビメンディ、久保、ブライスの電撃的アクションをオジャルサバルがフィニッシュすることで、ソシエダはファンの期待を裏切らなかった。これは素晴らしく正確なプレーだった」と得点場面の動きを称賛したが、10点満点の採点では「5」と及第点に満たない数字に止まり、寸評もネガティブな部分が多いものとなっている。

「彼はトライしつづけたが、非常に運が悪く、またそのプレーにはあまりインスピレーションがなかった。彼は決して逃げ隠れするようなことはなく、チャンスを求めて積極的にプレーしたが、残念ながら期待されるほどの活躍はできなかった。それでも、ミケル・メリーノには素晴らしいクロスを送った」

最後に、サッカー専門サイト『El Desmarque』は、敗退に頭を抱え込む久保の姿を公開するとともに、「久保らベンチのメンバーは、信じられないという表情を隠すことができなかった」と伝えた。そして、個別評価では「いつも通り相手にとっては危険な存在であり、味方からは頼られたが、これまでの試合ほどの成功を収めることはできなかった」として、採点は「6」を与えている。

構成●THE DIGEST編集部

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