チームで新しい輪島に 輪島・坂口茂市長インタビュー

 職員は、地震直後から、ずっと庁舎に泊まり込んで業務に当たってくれた。感謝の気持ちしかない。誇りに思う。食事は今もレトルトカレーとカップ麺の繰り返し。ひどい環境で申し訳ないが、職員が炊き出しに並ぶわけにもいかない。

 避難所に泊まる職員もいたが、職員という理由でトイレ掃除をさせられたケースもあった。いつまでもそれでは復興できない。2カ月たったので、市民が自助共助で助け合って行動していく時期に来ている。

 職員は最近、ようやくシフトを組んで休めるようになってきた。市外の応援職員のおかげであり、応援職員にも感謝している。

 被災地の活動は長丁場。ストレスがたまりやすい。私も復旧を急ぐため毎日職員に進捗(しんちょく)を確認し、「なぜ進まないのか」と責めた時もあった。もちろんフォローはしたが、職員はよくこたえてくれた。

 災害発生から3カ月を過ぎると鬱(うつ)になる人が出てくると言われる。職員も含め、市民が被災地を離れ、地震や復旧・復興のことを忘れる環境に身を置き、リフレッシュするのも大切だ。県外から旅行に来てもらう応援割だけでなく、被災者が一時、被災地を離れる「逆応援割」みたいな支援もあっていいと思う。

 有事の時は職員の本質が見えやすい。積極的に仕事をしようとしない職員もいるが、それも仕方ない。それぞれの長所短所を把握した上で、チームとして、元に戻すだけでない、新しい輪島をつくっていきたい。

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