「奥能登で寄り添う医師に」 輪島高から福井大医学部に合格

元担任の橋元さん(左)に医学部合格を報告する辻さん=29日午後1時半、輪島高

  ●辻さん、家族を思い 高校14年ぶり医学部進学者

 能登半島地震で被災した辻竜太朗さん(19)=輪島市河井町、輪島高卒=が福井大医学部に学校推薦型選抜で合格した。同校からの医学部進学は14年ぶり。辻さんは「合格が被災した家族のためになると思った。将来は奥能登で患者に寄り添う総合診療医になりたい」と目を輝かせた。

 辻さんは小学2年の時、乳がんなどで半年間入院した母親の姿を見て医師を志すようになった。金沢市内の病院に入院して離れ離れになり、母親が「普段通りの生活をしたい」と言っていたのが印象に残っており、地域医療に力を入れている福井大を選んだ。

 元日の被災時は輪島市内の塾で勉強中で、3日に金沢のホテルに移った。参考書などがなく、インターネットによる学習が中心となった。「ネットは目がチカチカした。紙の教材がなかったので、とても苦労した」と振り返った。

 輪島高で3年間担任を務めた橋元幸弥さん(35)は「現役時は苦手科目を熱心に勉強していた。よくやってくれた」と教え子の吉報に目を細めた。

 共通テストによる1次試験、面接による2次試験を受け、合格をつかんだ辻さん。震災で活躍する災害派遣医療チーム(DMAT)の姿を見て新しい目標が加わったとし、「奥能登で患者とのコミュニケーションを大事にした医療に取り組みたい。DMATにも参加したい」と話した。

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