能登の祭り財政支援 馳知事方針、文化振興基金200億円に

  ●「できる形で伝統続けて」

 能登半島地震は1日、発生から2カ月を迎えた。馳浩知事は北國新聞社の単独インタビューに対し、新年度から、被災した住民らが営む地域の祭りに財政支援を行う考えを明らかにした。財源には「いしかわ県民文化振興基金」の運用益を想定し、新年度に基金の規模を120億円から200億円程度に拡充する。日本遺産に認定された豪壮なキリコ祭りから、集落の小さな祭礼まで幅広く支援し、能登の魅力を形作る伝統文化の断絶を防ぐ。

 能登半島地震を受け、七尾市で5月に行われる青柏祭がでか山の巡行中止を決めるなど、能登の各地に根付いた伝統の祭りに震災の影響が広ることが懸念されている。

 馳知事は取材に対し、祭りは能登の人々が集まる格好の機会だと指摘した上で、「祭りを復活させようという意欲があるところには支援する必要があると考えている」と述べた。

 さらに、「完全な形ではなくても、山車やキリコを組み立てるなどできる範囲で祭りをやってほしい。能登を離れている人にとっても、それが心の励みになる」と強調した。

 財源と想定される文化振興基金について、県は新年度に金額を積み増しした上で、公募枠に「震災関連枠」(仮称)を設け、祭りを含めた被災地の文化事業を優先的に採択することを検討する。ほかにも、財源として国の補助メニューや、企業版を含めたふるさと納税を活用できないか探る考えだ。

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