高炉休止で雇用支援へ 茨城県と鹿嶋、神栖2市対策会議 東日本製鉄所鹿島地区

合同対策本部会議であいさつする横山征成副知事(中央)=県庁

茨城県や鹿嶋、神栖両市などは29日、日本製鉄(東京)による東日本製鉄所鹿島地区(鹿嶋市光)の高炉1基休止に備えた合同対策本部会議を開き、離職者の就職や地元企業の受注確保などを支援する方針を固めた。休止が1年後に迫り「撤回は困難」と判断。これまでの継続要望から、影響を最小限にとどめる対応にかじを切った。

県によると、日鉄側が2月15日、県庁に大井川和彦知事を訪ね、高炉休止や影響について説明。大井川知事は雇用など影響の最小化を要請した。

説明によると、同製鉄所鹿島地区の従業員2900人のうち、操業や整備に関わる80人は同製鉄所君津地区(千葉県君津市)に配置転換する。

同社は県に対し、グループ会社や元請け協力会社の人員措置は、欠員職場や近隣事業所への配置転換で一定のめどがついたと説明。一方で、2次下請け企業については必要に応じ、行政による支援を求めた。

会議は県庁で開かれ、県と2市、関東経済産業局、茨城労働局の代表が出席。高炉休止による離職者や事業活動、税収、人口減少など地域への影響を最小限に食い止めるため検討していくとした。温室効果ガス排出量を実質ゼロにするカーボンニュートラルへ、高炉跡地や残る1基の利活用を進める考えも確認した。

県は10~12月に離職者向けに就職マッチング会を開催。ビジネスコーディネーターを配置し、中小企業に受注支援などを促す。

会議で横山征成副知事は「現実を受け止め、備える必要がある。関係機関が一丸となって対策を始めることが重要」と述べた。

日鉄は2021年3月、国内高炉を15基から10基に減らす方針を発表。鹿島地区の2基のうち1基を25年3月末に休止する。

鹿嶋、神栖両市は産業活動を促すため、固定資産税の減免を始めた。会議後、田口伸一鹿嶋市長は地域経済への影響について「具体的な数字はまだない。精査していく」と説明。石田進神栖市長は「情報共有し、力を合わせる」と話した。

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