【震災・原発事故13年】災害公営住宅、高齢世帯5割 福島県社会福祉協議会が初調査 孤独死防止が急務

 福島県社会福祉協議会が東日本大震災と東京電力福島第1原発事故に伴う復興公営住宅(災害公営住宅)約5千戸を対象に初めて実施した実態調査で、避難者の入居世帯3512世帯のうち、高齢者の1人暮らしまたは高齢者のみの複数人世帯は約5割の1849世帯に上った。心身に何らかの障害などがあり、「福祉・医療サービスを利用せずには日常生活を送れない」とした世帯は1224世帯だった。発災から間もなく13年となる中、避難者らの高齢化・単身化が進んでおり、専門家は孤独死などの防止に向け、社会的支援の強化などを訴える。29日、福島市で開かれた県被災者見守り・相談支援調整会議で県社協が明らかにした。

 15市町村にある72団地の全4767戸を対象に昨年7~9月、生活支援相談員らによる聞き取りなどで調べた。世帯構成は【表】の通り。単身世帯が2043世帯、複数人世帯が1469世帯だった。

 単身世帯のうち60代以上は1473世帯で72.1%を占めた。複数人世帯のうち65歳以上の高齢者のみの世帯は、25.6%に当たる376世帯だった。

 生活に関する調査に回答した3894世帯のうち、31.4%の1224世帯が持病や障害などを理由に「福祉・医療サービスを利用せずには日常生活が送れない」と答えた。このうち8割を超える992世帯は単身世帯だった。

 実態調査の実行委員長を務めた東北福祉大総合マネジメント学部の森明人准教授は福祉・医療サービスを必要とする世帯が3割に上った背景の一つに、入居者の高齢化があると分析。中には避難先で孤立を深め、適切なサービスを受けていないケースもあるとみて、「福祉・医療制度に確実につなげる仕組みが重要だ。そのために(県内社協に配置されている)生活支援相談員、避難者地域支援コーディネーターの果たす役割は大きい」としている。

■心理的不安1割弱

 調査ではストレスや、不安などの心理的・精神的な自覚症状を持つ人が1割弱いることも判明した。

 回答した3894世帯のうち、「日常生活に支障が出るほどのストレスがある」としたのが303世帯(7.8%)、「気分の落ち込みや生活意欲の衰えがある」が274世帯(7.0%)。ともに8割以上が単身世帯だった。

 「引きこもりや閉じこもりがある」が162世帯(4.2%)で8割以上が単身世帯、「震災を原因とする大きな悲しみ、喪失感、不眠、自殺念慮などがある」が132世帯(3.4%)となり、単身世帯が7割以上を占めた。

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