【震災・原発事故13年】JOD地方紙共同アンケート 処理水放出受け福島県産品購入 「気にならない」過半数

 東日本大震災と東京電力福島第1原発事故の発生から丸13年となるのを前に、福島民報「あなたとともに 福島特命取材班」など地方紙20媒体が実施したインターネット共同アンケートの調査結果がまとまった。福島第1原発の処理水海洋放出が昨年夏に始まったのを受け、風評が懸念された「福島県の水産物など1次産品の購入をどう思うか」の問いに対し、過半数の人が「気にならない」と答えており、福島県産品の消費を変わらず続けている動向がうかがえる。

 回答全体では「あまり気にならない」「全く気にならない」が計51.2%で半数を超え、「とても気になる」「少し気になる」の計33.5%を上回った。地域ごとに回答の比率に差異はあり、本県からの回答では「気にならない」の合計が69.0%に達した。

 今後の原発政策の在り方を巡っては、これまで物価高などを受け原発活用を容認する意見が増加傾向だったが、減少に転じた。「積極的に廃炉とし、脱原発を急ぐべきだ」が最多の31.6%で、「すぐにでも全国的に廃炉とすべきだ」を加えた脱原発を求める答えは計44.1%だった。「運転延長は控え、基数を減らしながら活用」を含めた原発活用の容認は計48.0%。「分からない」は7.9%。

 前年比で脱原発を求める意見は8.4ポイント増、原発容認の声は8.6ポイント減。昨年の調査ではロシアのウクライナ侵攻などに伴うエネルギー価格の高騰を背景に、容認する声が増えていた。1月1日に能登半島地震が発生したのを受け、13年前の福島第1原発事故を想起したとの回答が寄せられており、脱原発の意見が増えた一因とみられる。

■能登地震に過去の教訓 「生かされている」計38.8%

 1日で発生から2カ月となる能登半島地震への対応を巡り、東日本大震災や熊本地震など過去の教訓が生かされたかどうかも質問した。津波避難の呼びかけなどを評価する意見があった一方、避難環境などの改善を求める声も多く、受け止めは分かれた。

 教訓が「ある程度生かされている」と答えた人は35.6%で最多となり、「十分に生かされている」と答えた人は3.2%だった。「緊迫した様子で避難をテレビで繰り返し呼びかけていた」など津波からの避難に役立ったと挙げる人が目立ち、富岡町の女性(47)は「避難所が仕切られたり、段ボールベッドが活躍していた」と答えた。

 一方で「あまり生かされていない」が21.2%、「生かされていない」は14.0%で、熊本市の男性(73)は「早急に(ホテルなどの)2次避難所に誘導してほしかった」と指摘した。「どちらともいえない」と答えた人は23.3%。

【調査方法】このアンケートは多様な意見を聞き取るのが目的で、無作為抽出で民意を把握する世論調査とは異なる。オンデマンド調査報道(JOD)パートナーシップ加盟社が2021(令和3)年から取り組む協働企画「#311jp」の一環。福島民報社など20社が2月に通信アプリ「LINE」や紙面などを通じて呼びかけ、47都道府県と海外から計4681件の回答があった。

【参加媒体】福島民報、岩手日報、河北新報、秋田魁新報、福島民友、下野新聞、新潟日報、北陸中日新聞、福井新聞、信濃毎日新聞、静岡新聞、中日新聞、京都新聞、愛媛新聞、高知新聞、西日本新聞、熊本日日新聞、南日本新聞、琉球新報、日本農業新聞

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