高1ライダー、最高峰へ 全日本トライアル選手権Sで浦山さん(上山明新館)

今季用の新マシンを丁寧にチェックしながら整備する浦山瑞希さん(左)と父親の和巳さん=上山市

 障害物のある区間でオートバイ運転技術の正確性を競うトライアルのライダーの上山明新館高1年浦山瑞希(みずき)さん(16)が今季、「全日本トライアル選手権シリーズ」で最高峰の国際A級スーパークラスに参戦する。昨季の国際A級クラスで年間3位に入り、昇格の権利を得た。ホンダ・レーシング(HRC)のサポートも決定。「不安はあるが、あの難コースを走ることにワクワクしている」と、3月末の初戦を心待ちにしている。

 浦山さんは会社員の父・和巳(かずみ)さん(49)の影響で上山小4年の頃にトライアルを始めた。初挑戦した2021年の同シリーズ国際B級クラスでいきなり年間チャンピオンを獲得。22年は国際A級クラスに舞台を移したが14位に終わった。

 悔しさを胸に23年シーズン(7戦)に備えていた昨年2月、当時のチーム監督から「HRCがマシンを貸すと言っている」と連絡があった。すでに別メーカーのマシンを購入して調整に入っていた時期だった。これまでとエンジン特性や車重が全く違うことに迷いはあったが、多くのチャンピオンが使用し、より馬力と安定感があるHRCのマシンへの乗り換えを選択した。

 決断から初戦までわずか1カ月で「ほぼぶっつけ本番だった」と浦山さん。初戦前日の練習でも乗りこなせず、ライバルたちが「今年の浦山は終わったな」と話す声が聞こえた。それでも先輩ライダーのアドバイスやレース中に徐々に手応えをつかんだことで、ポイント獲得圏内(15位以内)の12位に食い込んだ。

 その後は走り込みを強化してスタミナと筋力の向上に努め、インターネットでトップ選手の動画を研究しては技術を自身の体にたたき込んだ。結果、2戦目以降は1桁台をキープし、5~7戦の最終3戦はいずれも3位で年間3位に輝いた。

 スーパークラス参戦を機に、マシンやパーツでHRCの全面サポートを受けることが決まった。所属も、同クラスで11連覇を達成中の小川友幸選手の関連チーム「HRCクラブMITANI(ミタニ)&荘内」に移籍した。

 全国を転戦する浦山さんを献身的に支える和巳さんと母・真澄さん(52)は「頑張り次第でいくらでも成長できる。トップ選手やチームからたくさん吸収してほしい」と激励する。

 浦山さんは「HRCを背負うことに大きな期待と責任を感じる」と話し「結果を残せば世界進出という夢が現実になる場所まで来た。1年目から1桁台を狙い、いつか世界大会に出場してチャンピオンになりたい」と言葉に力を込めた。

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