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宝塚歌劇団の俳優を育てる宝塚音楽学校(兵庫県宝塚市武庫川町)で1日、第110期生39人の卒業式があった。新型コロナウイルス禍の中、声楽やダンスなど心一つに稽古を重ねてきた2年間の思いを胸に、卒業生はタカラジェンヌとして羽ばたく決意を新たにした。
同歌劇団では2023年9月、俳優の女性が急死。女性の遺族は過重労働、上級生らのパワハラが死亡の原因だと主張し、謝罪と補償を巡って歌劇団側と交渉している。歌劇団の親会社・阪急阪神ホールディングスの角和夫会長が歌劇団と学校の理事を退任した。
式では、歌劇団の理事長も兼任する村上浩爾理事長が俳優の死亡問題について「昨年秋に痛ましい出来事があった」と言及。「時代に合わない組織風土は改革、改善していく。皆さんが安心して舞台に取り組めるよう、しっかりと踏み込んでいきたい。力を入れるので、もう少し時間をいただきたい」と語った。
式はコロナ感染対策による報道陣の入場制限を経て、4年ぶりに通常通りに開催。22年春、倍率約17倍の難関を突破して合格した110期生は紋付きはかまを着用し、晴れやかな姿で臨んだ。ブーケを贈るセレモニーも復活し、予科生が卒業生一人一人に手渡した。
卒業生総代の田良結芽さん(山口県出身)は「音楽学校で学べた喜びを胸に、『清く正しく美しく』の教えをしっかりと受け継ぎ、夢の舞台で活躍できるように精進したい」と誓った。(西尾和高)